ヒロド歩美が思う高校野球界の未来を照らす"新たな球児"の形 「人生を前向きに変えていく」取り組み (2ページ目)
【DH制と単独出場への執念が生む光】
春のセンバツに続いて夏の甲子園でも「DH制」が初めて導入されます。まだ現場での恩恵や手応えを監督たちから深く聞けていない部分もあるのですが、いい面で言えば間違いなく、選手の出場機会が増えること。一方で、選手層が厚いチームとの戦力差がより開いてしまう難しさもあるかもしれません。
ただ、ある監督さんが「守備が苦手な子でも、バッティングを極めるという割り切りをして練習に臨める」とおっしゃっていたのが印象的でした。守備ができないから試合に出られないと諦めるのではなく、ひたすらバッティング練習をして「それが僕の生きる道だ」と思える職人的なポジションができるのは、選手たちにとって大きな希望になるはずです。
DH制における戦術面の変化について、古田敦也さんも選手の出場機会増加を肯定的に捉えていて、また、「国際基準に合わせることで国際大会でも戦える」とおっしゃっていたのも印象的でした。
また、高校野球を取材し続けてきて、私自身、野球人口の減少には強い危機感を抱いています。合同・連合チームが増えるなか、なんとか単独出場を目指す球児たちの喜びや熱い思いにはいつも心打たれます。
先日、南北海道の森高校を取材しました。5年前に一度は廃部になったのですが、元プロ野球選手の吉田雄人さんが「地元に恩返しをしたい」と監督に就任し、町内の一軒家を寮に改装するなどして、2025年に部を復活させました。
昨年は部員わずか4人で合同チームでの出場でしたが、地道な活動の甲斐あって今年は15人に増え、みごと単独チームとして大会に出場したんです。初戦で敗れてしまいましたが、「単独で出場できたことは来年につながる」という1、2年生たちのキラキラした目は忘れられません。
少し形は違いますが、以前、『報道ステーション』でお伝えした青森の弘前学院聖愛のエピソードも心に残っています。部員不足の柏木農業へ、「単独廃校ルール」(他校からの選手派遣制度)を利用して聖愛から3人の選手が助っ人として派遣されました。
聖愛ではベンチに入れなかった選手が、別の学校の一員として公式戦の場数を踏む。その経験が自信となり、結果的に翌年、聖愛の主力として甲子園出場を果たす原動力になったんです。
彼らに野球を教わった柏木農業の当時の主将が「スポーツのすばらしさを教える指導者になりたい」と夢を見つけたように、出場機会を与える制度が、球児たちの人生を前向きに変えていく。本当にすばらしい取り組みだと思います。
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