検索

【大学野球】地方の公立大学から代表候補合宿に参加 矢花大聖が経験した濃密な3日間「こんな僕でも話してもらえるのかな」 (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

 同じ札幌学生リーグからは、西浦真平(北海道文教大3年)も合宿に参加していた。左打ちの大型スラッガーで、北海道文教大が2部リーグに所属した際には矢花と対戦経験もある。矢花にとっては、初対面だらけの心細い空間で唯一の知り合いである。

 だが、矢花は合宿中、あえて西浦と行動をともにすることはなかったという。

「せっかくの代表候補合宿なのだから、いろんな人とコミュニケーションを取らないと来た意味がないと思いました。彼(西浦)も絶対にほかの選手の話を聞きたかっただろうし、帰りの飛行機でどんなことがあったかを話し合うことはできますから」

【全国レベルを知った3日間】

 合宿当初は気後れしていたものの、矢花は「みんな気さくに話しかけてくれて、自分もラクになりました」と徐々に周囲と打ち解けていった。

 合宿中のパフォーマンスやコミュニケーションを通して、「全国」のレベルを肌で感じた。矢花はこんな心境を吐露している。

「これまで僕がやってきた野球は、野球じゃなかったのかなって。それくらい周りとのレベルや話している内容が違いすぎて、驚きの連続でした」

 キャッチボールで受ける、ドラフト候補のボールの質感。フィールディング練習での機敏な動き。150キロを超えるドラフト上位候補たちの出力。トレーニングや栄養摂取まで気を配る意識の高さ。対戦する打者のスイングの圧力。そのすべてが矢花にとっては新鮮だった。

「クレアチン(アミノ酸)を摂ったほうがいいとか、ステップする際に地面からの力を感じる話だとか、いろんなことを教わりました。初日は六大学や東都の選手と壁を感じたんですけど、鈴木選手や大坪選手(廉/東洋大3年)には食事中に話を聞くことができて、同部屋の森本選手(光紀/立教大3年)とも話せて楽しかったです」

 とくに矢花が衝撃を受けたのが、野村亮輔(佛教大3年)から聞いた話だった。野村は今秋にブレイクした最速152キロの剛腕である。

2 / 4

キーワード

このページのトップに戻る