【大学野球】東京六大学に現われた184センチ93キロの大器 法政大1年・井上和輝、慢心なき進化の現在地 (2ページ目)
渡部はコミュニケーション能力が高く、選手同士はもちろん、指導者や報道陣とも如才なく受け答えができる。だが、井上は渡部と踏み込んだ対話をするなかで「ふつうじゃない」という印象を抱いたという。
「ふつうじゃ考えないようなところまで渡部さんは考えて、いろんな目線に立っていることを感じました。やっぱり、ふつうじゃないです」
【3年前の苦い記憶】
合宿2日目の紅白戦では、普段は渡部とバッテリーを組む鈴木泰成(青山学院大3年)をリードする機会に恵まれた。鈴木も故障さえなければ、来秋のドラフト1位が確実視される逸材である。鈴木のボールを受けた感想を聞くと、井上は目を丸くしてこう答えた。
「すばらしいです! 今まで受けたことのないような真っすぐで、ボールがうなっていました。とくに低めの球はミサイルのように『パンッ!』と来るので驚きました。フォークの落差もすごいし、コントロールの精度も高くて......。東都(大学リーグ)のレベルを思い知らされました」
一方、鈴木に井上の印象を聞くと、こんな反応があった。
「めっちゃ投げやすかったですよ。体が大きくて、投げやすくて。あれでまだ1年生ですもんね。すごいですね」
鈴木の言葉を伝えると、井上は「そう言ってもらえるのは、すごく自信になりますね」とはにかんだ。
井上はもともと、捕手としての守備力に自信がなかった。筆者は3年前の高校野球・秋季関東大会で、何度も投球を後ろに逸らす井上の姿を目撃している。そのことを告げると、井上は「あの時は本当にひどかったです」と苦笑した。
「初めてほぼ満員の観客の前でプレーして、3回も4回もボールを逸らして......。バックネットまで取りにいく時、お客さんの目線が怖かったのを覚えています」
当時、井上は高校1年生だった。レジデンシャルスタジアム大宮で行なわれた作新学院対駿台甲府戦。4番・捕手で出場した井上だったが、駿台甲府のプロ注目右腕・平井智大(現・中央大2年)のボールをことごとく止められなかった。試合は0対10のワンサイドゲームで、駿台甲府が5回コールド負けを喫している。
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