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【高校野球】北海道出身の元U−15日本代表・林将輝は、なぜ甲子園出場1回の大阪学院大高へ進学したのか (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

 林は3イニングを投げ、被安打2、奪三振3、与四死球2、失点0。打力も高いため、降板後は右翼の守備へと回った。

 林が投げている間、じっくりと目を凝らした。なぜ、超人的なボールが投げられるのか。左膝を二塁ベース側へと振って、タメをつくってから体重移動する力感のないモーション。ただし、右手からボールをリリースする瞬間、「バチッ!」と火花が散るような錯覚を起こす。右手の指先からボールへとエネルギーを伝える感覚が、人並外れているのだろう。

「小学生の頃から、きれいな回転にこだわってきました。捕手に向かってボールが伸びていくようなイメージです」

【幼少期からこだわった球の回転】

 練習試合を終えた林は、淡々とした口調で答えた。興奮気味に話しかけてくるライターとは対照的に、至って平静な様子である。辻盛監督が「誰に対しても同じような接し方ですよ」と証言するように、常にマイペースなのだろう。

 どのようなリリース感覚でストレートを投げているのか。そう尋ねると、林は少し考えてからこう答えた。

「ボールを離す瞬間に、ガッと引っかける感じです。かかりが甘いとボールが1〜2個分浮き上がっちゃうんですけど、しっかりとかかるとローボールになります」

 父・誠さんは駒大苫小牧で三塁手としてプレー。当時の香田誉士史監督(現・駒澤大監督)から指導を受けている。林は幼少期から、誠さんに「球の回転にこだわれ」と教えられてきたという。

 林の取材をするにあたり、下調べをするなかで「指先感覚を磨くためにピアノを習っていた」という記事を発見した。ピアノが与えた効果は大きかったのか。そう尋ねると、林はきっぱりと答えた。

「いや、それはないです」

 生まれ育ったのは、北海道道央にある日高郡新ひだか町。2006年に静内町と三石町が合併してできた町だ。故郷について聞くと、林はこう答えた。

「けっこう田舎のほうだと思います。有名なのは馬とか、桜並木とか。食べ物は昆布が有名ですね」

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