【夏の甲子園2025】巧みなリードで「格上」健大高崎を翻弄 京都国際の捕手・猪股琉牙「ネットでは『健大が勝つ』と言われていたので...」
その表情には、充実感が滲んでいた。
「格上相手に勝つことができて、うれしいです」
勝利チームのインタビュールームに現れた京都国際の正捕手・猪股琉冴(3年)は開口一番、そう言って汗を拭った。
優勝候補の健大高崎に勝利した京都国際の西村一毅(右)と猪股琉冴のバッテリー photo by Matsuhashi Ryukiこの記事に関連する写真を見る
【下馬評では健大高崎が優位】
8月13日、甲子園初戦屈指の好カードと注目された、京都国際対健大高崎(群馬)。下馬評では、横浜と並ぶ優勝候補に挙がる健大高崎が優位と見られていた。
だが、京都国際は健大高崎の誇る豪華投手陣から6得点を奪い、主導権を握った。守っては、エース左腕の西村一毅が3失点で完投。6対3で京都国際が快勝を収めた。
京都国際は昨夏の甲子園優勝チームであり、西村ら昨年の優勝経験者も複数残っている。だが、小牧憲継監督が「昨年のチームとよく比較されるんですけど、今年のウチは本当に力がないので」と語るように、前評判は決して高くなかった。
ただし、強豪チームには、必ず好捕手がいるものだ。京都国際には猪股、健大高崎には小堀弘晴(3年)という扇の要がいる。彼らの視点で、名勝負を振り返ってみよう。
両校は今春に練習試合を戦っている。猪股が「西村が打たれて、9点くらい取られて負けました」と語るように、京都国際の惨敗だった。
ただし、小牧監督はその敗戦の背景にあった事情を明かす。
「健大さんはセンバツ(京都国際は不出場)を控えていたので、バッテリーにはインコースに投げさせなかったんです」
試合前の会見で、小牧監督は「インコースに投げきれるかがポイント」と語っている。
西村といえば、昨夏に「魔球」と呼ばれたチェンジアップが代名詞だ。最速146キロとスピードもあるが、打者からすると強烈に印象づけられるのはチェンジアップだろう。
健大高崎の青栁博文監督は、試合前から西村のチェンジアップを警戒していた。
「あのチェンジアップはすばらしいですね。三振を取るチェンジアップと打たせるチェンジアップとで使い分けていますから」
1 / 4
著者プロフィール
菊地高弘 (きくち・たかひろ)
1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。




























