日本ハム・達孝太が高校時代に語っていた驚愕のピッチングメカニズムと憧れていた3人の投手 (3ページ目)
【沢村賞の選考基準にも言及】
高校生とは思えない話として、こんなやり取りも印象に残っている。甲子園での球数問題から、メジャーリーグでは先発投手が中4日で100球を目安に投げるのに対し、日本では中6日でも100球投げるのが当たり前のようになっているという話題になった時、達が思わぬ方向へ話を展開していった。
「日本では沢村賞の基準に年間200イニング以上という条件があるじゃないですか。でも、中6日で100球を目安に交代していると、年間200イニングに到達しません。だから、年間200イニング以上という沢村賞の選考基準を見直すか、1試合100球を目安にする習慣をなくすか、どちらかを変えていかないといけないと思います」
その達の言葉を聞いて、「そうしていかないと僕が獲れないじゃないですか」と、心の声が聞こえてくるようだった。ここでも言わせてもらうが、これまで高校生を取材してきて「沢村賞」について語ってきたのは達が初めてだった。
振り返ると、スケール感あふれる楽しいインタビューの数々だった。今やプロ4年目でこの活躍を見せている。18歳のときに語っていた「サイ・ヤング賞」という夢も、早くも壮大な目標にとどまらなくなっている。まずは日本で、日本ハムの先輩である大谷翔平やダルビッシュに迫り、やがて海を渡って世界屈指の投手へと成長していくだろう。高校時代のやり取りを懐かしく思い出す機会は、これからもまだまだ多くありそうだ。
著者プロフィール
谷上史朗 (たにがみ・しろう)
1969年生まれ、大阪府出身。高校時代を長崎で過ごした元球児。イベント会社勤務を経て30歳でライターに。『野球太郎』『ホームラン』(以上、廣済堂出版)などに寄稿。著書に『マー君と7つの白球物語』(ぱる出版)、『一徹 智辯和歌山 高嶋仁甲子園最多勝監督の葛藤と決断』(インプレス)。共著に『異能の球人』(日刊スポーツ出版社)ほか多数。
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