検索

日本ハム・達孝太が高校時代に語っていた驚愕のピッチングメカニズムと憧れていた3人の投手 (2ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro

【プロの体の使い方を解説】

 さらに話題は角度から投球フォーム、そして体の使い方へと移った。

「下半身の使い方がすごい! でも、真似しようとしてもなかなかできないんです」と絶賛したのは千賀滉大だった。ほかにも田中将大らのフォームを、骨盤や股関節の動きといった視点を軸に解説。18歳のドラフト候補が、プロのトッププレーヤーのフォームをこのレベルで語ったのは、20年以上にわたるアマチュア取材でも初めてだった。

 体の部位の役割や動きの原理原則を理解し、自分のフォームも他人のフォームも課題意識を持って見ているからこそ、言葉がすらすらと出てくる。解説がひと段落すると、再び話題は「角度」に戻った。

「角度は、つけばつくほどいいというわけではありません。人間の目で認識できるには限界があり、たとえばリリースポイントがボール3つ分違っていても、バッターの目線ではほぼ同じ高さに見えるというデータがあるんです」

 ボール3つ分といえば、けっこうな差に思えるが......。

「だいたい20センチくらいまでの差なら、バッターの目には同じ高さに見えるというデータがあります。つまり、バッターが認識できる範囲を超えた角度のボールを投げないと、その面での効果はあまり期待できないということです。逆に、打者の頭にない角度からボールが投げることができれば、甘いコースでも対応できない」

 技術の吸収に貪欲な達は、ダルビッシュが愛読する本を読み込み、投球動画も繰り返し視聴した。そこで「どんな視点で見ているのか?」と尋ねると、ここでも感心させられる答えが返ってきた。

「ダルビッシュさんは何より変化球がすごいと思っているので、まず変化球の感覚を語っている動画を見て、その感覚を頭に入れてから、そのボールを投げている時のフォームや指先のスロー動画を見ます。ダルビッシュさんの感覚とすり合わせながら見る感じです。変化球の感覚は人それぞれなので、『すごい、すごい』とはならず、『ああ、この人はこういう感覚なんだな』と確認しながら頭に入れていくイメージです」

2 / 3

キーワード

このページのトップに戻る