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高校時代は控え投手 中京大・大矢琉晟&沢田涼太が大学選手権で見せた大器の片鱗 (4ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

 登板機会が限られると言っても、沢田の心中には納得感がある。それほど同期であり、主将でもある高木の存在は大きいのだ。

 高木の何がすごいと思うかと尋ねると、沢田はこう答えた。

「どんな試合でも、同じようなパフォーマンスができることです。能力がすごいのはもちろんなんですけど、その日の調子がどうであれ、きっちりと仕事をして帰ってくる。それが高木のすごさだと感じます」

 一方で、沢田には沢田の魅力がある。技術だけでなく、フィジカル面も「ほかの選手と比べて劣っている」と本人は語っている。その未完成な部分こそ、沢田の魅力と評価するスカウトもいるはずだ。

 今後の希望進路について聞くと、沢田はこう答えた。

「プロ志望届を出したいと考えています。自分の評価はまだ高くないと思うので、育成(ドラフト)だろうとプロに行きたいです」

 高木が大学選手権で登板できない暗いニュースがあった一方で、隠れていた才能が出現したことは一筋の光明になった。大矢琉晟と沢田涼太、ふたりのシンデレラストーリーは始まったばかりだ。

つづく

著者プロフィール

  • 菊地高弘

    菊地高弘 (きくち・たかひろ)

    1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。

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