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仙台育英に150m級のホームランを放つ超スラッガー 選抜優勝の横浜高のエースと元チームメイトの高田庵冬とは何者か? (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

 練習を終えた高田に、話を聞くことにした。「庵冬」という特徴的な名前の由来を聞くと、高田は穏やかな口調でこう教えてくれた。

「両親が『庵(いおり)のように人が集まって人間になってほしい』と『庵』の字を使ったと聞きました。『冬』は、自分が冬生まれなので」

 庵とは、質素なつくりの小屋のこと。人が集まる場所として「庵」の字を選択したところに、両親の慎ましさが感じ取れる。高田は「両親からは絶対に謙虚に生きなさいと言われてきました」と明かす。

【横浜高のエースとは元チームメイト】

 全国的な知名度こそないものの、高田の歩んできた道は「エリートコース」と言っていい。

 小学生時代は滋賀県の強豪・多賀少年野球クラブに所属し、小学5年時から主力として全国大会2連覇を達成。野洲ボーイズに所属した中学時代は、通算17本塁打を放って関西選抜に選ばれた。今春センバツで横浜のエースとして優勝に貢献した奥村頼人(らいと)は、野洲ボーイズのチームメイトである。

 関西選抜の仲間だった中岡有飛(ありあす)から「一緒に仙台育英に行こう」と誘われ、東北の地へと進んでいる。入学直後の春の公式戦では、いきなり4番打者に抜擢されたこともあった。

 だが、高田は「勘違いしないようにしよう」と肝に銘じていたという。

「周りのレベルが高いことはわかっていたので。両親からは『テングにならずにやっていけば、絶対に結果は出るから』と言われていました。自分も性格的に人のことを見下すことはしたくないので、謙虚にいようと考えていました」

 高田の言動には、関西人特有のアクの強さがまるで感じられない。そんな印象を伝えると、高田は「よく言われます」と笑った。自分の性格を自己分析してもらうと、「マイペース」と返ってきた。

 そして、高田は渋い表情でこう続けた。

「でも、自分のそういうところは好きじゃないんです。『もっと練習したい』という気持ちになりたいんです。誰にも負けたくない思いはあるんですけど、すぐに疲れてしまうので。そこに甘さがあるのかなと感じます」

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