ドラフト戦線の隠れた実力者が青学大にいる! 即戦力になれる逸材の天才スラッガー・小田康一郎 (3ページ目)
とくに打線の核だった西川と佐々木が抜け、小田にのしかかる重責は大きかったのではないか。そう尋ねても、小田は苦笑交じりにこう答えた。
「西川さんと佐々木さんがいた時から、僕がどれだけ打っても注目されたのはあのふたりだったので。今も打っても、立石、松下、谷端ばかり記事を見ますし。だから、いい意味でプレッシャーがないんですよね」
【スカウトの評価が上がりにくい理由】
小田はシーズン開幕後、青山学院大の主軸として絶大な存在感を放ち続けている。開幕戦の中央大1回戦は3対5で競り負けたが、翌2回戦では先制2ランを放つなど5対0の勝利に貢献。3回戦でも小田が決勝適時打を放ち、1対0で勝利した。
さらに日本大との第2週では、大きな見せ場があった。1回戦は青山学院大・中西、日本大・市川祐と両エースが好投して2対2のままタイブレークへ。延長10回表、無死一、二塁の先頭打者として打席に入った小田は、内角のストレートを振り抜いた。
小田は独特の言い回しで、この状況を振り返る。
「ボールを振りにいく瞬間って、意外とスローモーションになって、いろいろと考える時間ができるんです。『そろそろインコースに来そうだな』と思っていたら、本当にインコースに来て、『これ、このまま振ったらいくな』と考えていたんです」
打った瞬間、その場にいた誰もが確信する放物線がライトスタンドへと伸びていった。小田自身が「人生で一番と言ってもいいくらい」と振り返る、完璧な勝ち越し3ランだった。
青山学院大は今春リーグ8試合を終えた段階で勝ち点3(6勝2敗)を獲得。小田は打率.345、2本塁打、8打点と主軸の仕事を果たしている。
小田の評価が上がりにくい要因として挙げられるのは、「ポジション」の問題だろう。小田が主戦場としているのは、一塁手。近年のドラフト戦線では、一塁手のドラフト候補はスカウトから「潰しがきかない」と避けられる傾向にある。よほど打撃力がなければ、プロでは外国人一塁手との競争に勝てないからだ。
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