スポーツ推薦、特待生なしでも複数のドラフト候補 北海学園大、躍進の陰に「野球人と政治家」の二刀流監督の存在 (3ページ目)
工藤、髙谷、木村の3投手にしても、高校時代は控え投手だった。工藤は北海出身で、エースは木村大成(現・ソフトバンク)、髙谷は札幌日大出身で、エースは前川佳央(現・日本大)、木村は札幌国際情報出身で、エースは平川蓮(現・仙台大)。いずれも錚々たる大看板の陰に隠れる存在だった。
昨秋までエース格だった木村は、この環境だからこそ成長できたと語る。
「特待制度がないのは弱みかもしれないけど、『受験してでも野球がしたい』と意志を持って大学に来ていることは強みだと感じます。みんなよく練習するし、自分も周りの投手陣に影響を受けて、食生活から変わりました。質の高い生活で、お互いに高め合っていると感じます」
木村は制球力が高く、実戦での強さが光る左腕だ。課題だった出力面も向上し、今では最速145キロを計測している。希望するプロ入りに向けて、「この春のリーグ戦が勝負です」と語る。
部員数は4学年で毎年150人ほど。島崎監督は選手が集まる理由として、こんな事情も明かした。
「昔からウチの野球部は二部学生なんです。昼間に練習して、夜に授業を受ける。学費が半額で済むのも、選んでもらえる一因なのかなと感じます」
学生コーチ、マネージャーなど裏方の学生も意欲的で、札幌学生リーグでは珍しいアナリストも2人いる。なお、北海学園大のアナリストだった加藤拓光さんは、西武のアナリストに採用されている。
有望選手を多く擁しているといっても、札幌学生リーグを勝ち抜くのは容易ではない。近年、リーグを牽引するのは星槎道都大と東海大札幌キャンパス。さらに昨秋王者の札幌大も侮れず、国立の北海道大には昨秋に連敗を喫した。さらに新興勢力の北海道文教大が今春に1部昇格を果たし、ますます群雄割拠の様相を呈している。
【札幌学生リーグ独自の変則日程】
そして、このリーグの戦い方を難しくさせているのは、独自の変則日程にあると島崎監督は明かす。
「約1週間で5試合を戦い、10日ほど空けて、また約1週間で5試合を戦わなくてはいけない。どのチームも拮抗していますし、全部を勝ちにいこうとすれば全部負ける可能性もある。かなり特殊なリーグだと思います」
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