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スポーツ推薦、特待生なしでも複数のドラフト候補 北海学園大、躍進の陰に「野球人と政治家」の二刀流監督の存在 (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

 一方で、島崎監督には野球人とは別に「政治家」としての顔がある。かつて事業仕分けによって北広島市の総合運動公園計画が白紙になったことに憤り、政治家を志した。

 2015年に北広島市総合運動公園計画の実行を公約に掲げ、北広島市議会議員選挙に出馬して当選を果たした。市議会議員になった島崎監督は、総合運動公園にプロ球団の二軍を誘致できるような野球場を建てたいと考える。そこで野球界の人脈を駆使して、北海道日本ハムファイターズの球団関係者のもとへヒアリングに向かった。すると、偶然にも日本ハムは当時本拠地としていた札幌ドームから移転する構想を練っていた。

 関係者の尽力もあって、北広島市は日本ハムの本拠移転先となり、総合運動公園は「エスコンフィールドHOKKAIDO」として生まれ変わった。北広島市の大きな転換点に、島崎監督は感慨深そうに語った。

「私が子どもの頃は、北広島は『寝に帰る町』と言われていたんです。実際にオヤジもオフクロもそうでしたから。でも、エスコンフィールドができて、昨年は420万近い来場者がありました。北海道医療大学の移転も決まって、駅前にはビルができて、飲食店も増えてきました。人の流れが変わってきましたよね」

【スポーツ推薦・特待制度はなし】

 そして、島崎監督は野球に関しても、ある夢を抱いている。

「今年は日米大学選手権が日本で開催されて、エスコンフィールドでも2試合が組まれています。そこで工藤か高谷が日本代表のユニホームを着て投げてくれたら、言うことなしですよね。工藤は落ちる球もあるし、国際大会向きかなと思うんですけど」

 ドラフト候補を多数擁すると言っても、北海学園大の環境は決して恵まれているとは言えない。スポーツ推薦・特待生の制度はない。グラウンドが常時使えるわけではなく、近くの野球場を借りて練習する日もある。遠征費を稼ぐため、選手たちは11〜12月はアルバイトに精を出すのが伝統だ。

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