【大学野球】京都大・細見宙生は大学院進学を断念して社会人野球の道へ きっかけは阪神2位指名の元チームメイト (3ページ目)
打撃面には自信があるだけに、今冬は課題の守備面の強化に力を注いだ。来春からはすでに企業チームでプレーする予定になっている。もちろん、プロへの夢もその先につながっている。
まずは目の前のリーグ戦に全力を注ぐ。開幕2連敗を喫したとはいえ、まだ優勝の可能性は残されている。試合後のミーティングでは、近田監督が「逆転するチャンスがあるからこそ、落ち込まずに準備をしよう」と選手を鼓舞するシーンも見られた。
カギは細見とともに1年時からチームを牽引してきた、主砲の中井になるだろう。身長180センチ、体重84キロの左打ちの強打者だ。
開幕節は好機で凡退を繰り返し、守備でも手痛い失策を犯した。2回戦の最終回、2点差に迫ってなお二死満塁の場面で打順が回ってきたが、中井は二塁ゴロに倒れている。
近田監督は「代打を出そう」という考えを胸にしまい、中井に託したという。
「彼が打てないと、チームに先がないので。もっとやれるはずの選手ですし、彼も上で野球を続けたいなら乗り越えてもらうしかありません」
細見もまた、「中井ならやれると信じています」と信頼を口にする。
今年も京大旋風が吹き荒れる可能性は十分にある。戦いは始まったばかりだ。
著者プロフィール
菊地高弘 (きくち・たかひろ)
1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。
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