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【大学野球】京都大・細見宙生は大学院進学を断念して社会人野球の道へ きっかけは阪神2位指名の元チームメイト (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

 2試合で3安打を放っているが、状態は決してよくないという。細見はサラリとこう説明している。

「真っすぐをレフト前に打つのは、いつでもできると思っているので。今はインコースを引っ張ってライトに打てていないので、これからリーグ戦に馴染んでいくなかで打っていけたらいいなと考えています」

 レフト前ならいつでも打てる──。その言葉に細見の技術とメンタリティが凝縮されていた。近田監督は細見について、こう評する。

「負けん気が強くて、『自分が絶対に一番だ』と普段から思っているような選手なんです。それが結果につながっているのかなと感じます」

 開幕節を終えた段階で、リーグ通算安打数は52本。京大の歴代通算最多安打記録は西拓樹(たくな/2016〜2019年)の74本で、細見は記録更新を視界にとらえる。

「最初は全然意識していなかったんですけど、去年の春・秋に結果を残して(1年間で29安打)、いけるかもしれないと思いました。今春はあまり意識せず、なるべく多く打っておきたいですね」

【一浪中に偏差値が爆上がり】

 細見は大阪の公立進学校・天王寺高の出身である。「チームが弱いだけで、個人としては自信があった」と細見は豪語する。「関西の強いリーグで野球をしたい」という理由で、京大を志望した。

 現役では勉強時間を確保できず、合格を勝ち取れなかった。一浪中に「数学が爆発的に伸びた」と細見は振り返る。

「野球と一緒で、得意とわかるとのめり込んで、自信がついて『楽しいな』という感覚になるんです」

 京大志望者のみが受ける模試では、当初40〜45だった数学の偏差値が最終的に70近くまで伸びた。

 工学部で学び、ゆくゆくは大学院に進むことを考えていた。だが、一昨年の秋に方針を改めた。小学生時にチームメイトだった1学年上の椎葉剛(阪神)が、ドラフト2位指名を受けたのがきっかけだった。

「申し訳ないんですけど、剛くんが行けるなら自分も行けるなと思って。『行けるとこまで勝負したろ』と覚悟を決めました」

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