【選抜高校野球】タレント揃いの高松商はなぜ初戦で敗れたのか? プロ注目の2人の速球派右腕が味わった屈辱 (2ページ目)
5回表には、内野ゴロがイレギュラーして外野へと抜ける不運もあって1失点。行梅は4回1/3を投げて、被安打3、奪三振4、失点1。まずまずの結果に見えるが、本人は「まったく満足していません」と吐き捨てた。
こだわりのストレートが投げられなかった。この日の腕の振りは少し斜めの角度だったが、本来は「右腕を上から縦に振りたいんです」と行梅は語る。
「リラックスしている時はトップで右腕が上がってくるんですけど、今日みたいに力んでいると腕が上がらなくて。スリークォーターの角度になって、真っすぐで空振りが取れないんです。本来は角度があって、ホップするような真っすぐを投げたいです」
高松商の長尾健司監督からは、「才木浩人(阪神)のフォームに似ている」と褒められることもあるという。行梅は「わかっていても打てないストレートを投げたい」と意気込む。その意味で、この日は納得のいくストレートを投げられなかった。
行梅は将来的にプロ野球、そしてメジャーリーグで活躍することを目指している。だが、今は実力が足りないことも自覚している。
「これから夏に投げてみて......にはなりますが、今のままではプロでとても通用しないと思います。自分のなかでは、大学で4年間しっかりトレーニングして、プロを目指したほうがいいのかもしれないと考えています」
最速152キロを誇る高松商・高橋友春 photo by Ohtomo Yoshiyukiこの記事に関連する写真を見る
【甲子園で露呈した課題】
高松商が1対5と4点差に追い上げた9回表、満を持してマウンドに上がったのが高橋だった。
身長181センチ、体重87キロ。均整の取れた体格とバランスのいい投球フォームは、ひと目で好素材とわかる。しかし、プレーボール直後から高橋が投げ込むストレートは、133キロ、137キロ、138キロと球速が伸びない。この時、高橋は「全然腕が振れていないな」と感じていたという。
しかし、徐々に緊張がほぐれてくると、この日最速となる148キロをマーク。腕の振りも明らかに鋭くなっていった。高橋は「押せるだけ押そう」とストレート一本槍で立ち向かう。
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