【選抜高校野球】松坂大輔に迫る逸材、規格外の二刀流、宮城大弥の再来...甲子園で輝いた10人の新2年生
今春のセンバツは3年生のドラフト候補が軒並み低調に終わり、「収穫が少なかった」と肩を落とすスカウトが目立った。対照的に目を引いたのは、将来楽しみな2年生の有望株たち。来年のドラフト候補に挙がる可能性を秘めた、10人の大器たちを紹介していこう。
甲子園で自己最速の152キロをマークした横浜の織田翔希 photo by Ohtomo Yoshiyukiこの記事に関連する写真を見る
【伝説を超える可能性を秘めた逸材】
まず筆頭として名前を挙げたいのは、チームをセンバツ制覇に導いた織田翔希(横浜)だ。初戦の市和歌山戦では、力感のない投球フォームから自己最速152キロを計測。縦に大きく変化するカーブを操るなど、実戦での強さも武器にする。
身長185センチ、体重75キロの長身痩躯は発展途上で、まだ身長は伸び続けているという。投手としての資質は、伝説的OBの松坂大輔を上回るはずだ。
じつは大会直前には胃腸炎を発症し、練習試合で右手指の爪が割れるアクシデントにも見舞われた。それでも、健大高崎との準決勝では7回無失点の好投を見せ、ひと皮むけた感があった。大きな故障でもない限り、来年のドラフト会議の主役になるだろう。
その横浜との1回戦で敗れたものの、大きく株を上げたのが丹羽涼介(市和歌山)だ。3回途中から2番手として登板し、6回2/3を投げて被安打2、奪三振8とインパクト十分の投球を見せた。エネルギッシュな腕の振りから最速147キロを計測するだけでなく、フォーク、カットボール、カーブなど変化球の精度も高かった。
身長183センチ、体重84キロと均整の取れた体格で、将来性は高い。まだ1球ごとのムラも目立ち、粗削りではあるが、大舞台で存在感を見せたのは大きい。今後はマークされるなかでも自分の実力を発揮できるかに注目したい。
左投手で頭ひとつ抜けていたのは、末吉良丞(沖縄尚学)だった。身長175センチ、体重89キロと厚みのある体格で、マウンドでのふてぶてしいたたずまいが印象的。昨秋の明治神宮大会では本調子ではなかったが、今春は甲子園マウンドで最速145キロを計測した。
力任せではなく、変化球を交えた総合力で抑えるのが持ち味。シルエットはまるで異なるが、投球スタイルは本人が目標とする宮城大弥(オリックス)と重なる。
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著者プロフィール
菊地高弘 (きくち・たかひろ)
1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。