【選抜高校野球】低反発バット導入で変わるバント技術 「神技バント職人」たちの驚愕のアイデア (4ページ目)
コツはあるのか聞いても、宮城は「バットを上から当てて、ホームベースに当てるんです」と事もなげに答えた。宮城は幼少期から好き好んでバントをしてきたそうだが、もはや天性の感覚としか言いようがないのかもしれない。
宮城の父・卓さんは沖縄水産の二塁手として、1996年春のセンバツに出場。高校日本代表に選出されたこともある、名選手だった。ピンチバンターを務める宮城に対して、卓さんは「チームから与えられた大事な仕事なんだから、まっとうすればいい」とエールを贈ってくれたという。
「練習を重ねてきたので、自分のバントでチームの勝利に貢献したいです」
そう語る宮城の表情は、晴れやかだった。
高校野球においてバントというプレーは、ネガティブにとらえられる風潮もある。その一方、甲子園のグラウンドではバントに誇りを持つ職人たちが、今日もバットを構えている。
著者プロフィール
菊地高弘 (きくち・たかひろ)
1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。
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