社会人のドラフト候補たちも大活用 今夏オープンした「エイジェックスポーツ科学総合センター」はここがすごい! (5ページ目)
かたや、この日の測定をレベルアップに生かしたというのが、同じトヨタ自動車の渕上佳輝だ。
「自分の特徴とほかの人のデータを見比べたら、見た目で感じたような数字が出ていました。数値を見て、たとえばフライアウトの多いピッチャーなのか、ゴロピッチャーか。詳しいデータはこれからもらえるので、『やっぱりそっちのタイプか』と思ったら、投球時に意識していることを聞きに行こうと思います」
27歳の渕上は合宿中、若手選手にトレーニング方法を聞き、自分に取り入られるものがないかと探した。球速アップのヒントになるかもしれないからだ。
嘉陽や渕上のように社会人野球で年数を重ねている投手から、荘司や片山のようにプロでの活躍を目指す者、さらに網谷のような"元プロ"もいる。社会人日本代表は決して派手ではないが、実力者の揃うチームだ。計測に臨む姿勢を見るだけでも、成長に貪欲な姿勢が伝わってくる。
はたして10月24日、何人がドラフト会議で指名されるか。候補選手たちは人事を尽くして天命を待っている。
その5日後に開幕するのが日本選手権だ。アマチュア最高峰の舞台で力を存分に発揮すべく、選手たちは腕を磨いている。
著者プロフィール
中島大輔 (なかじま・だいすけ)
2005年から英国で4年間、当時セルティックの中村俊輔を密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『山本由伸 常識を変える投球術』。『中南米野球はなぜ強いのか』で第28回ミズノスポーツライター賞の優秀賞。内海哲也『プライド 史上4人目、連続最多勝左腕のマウンド人生』では構成を担当。
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