社会人のドラフト候補たちも大活用 今夏オープンした「エイジェックスポーツ科学総合センター」はここがすごい! (3ページ目)
「普段は試合で打つためにアプローチしているけど、今日はそもそも目的が違います。そのなかで、いつもより高い数値が出ました。試合でも今日と同じくらい出力できるように目指していきたいです」
網谷も言うように、データは今の自分を写す鏡だ。それをうまく活用し、どうレベルアップしていくのか。成長につなげてこそテクノロジーの価値も高まる。
社会人日本代表の投手たちも、同様の意識で計測に臨んだ。
「真っすぐの回転数より、回転軸を一番見ていました」
左のリリーバーとして評価される荘司はそう話した。172cm、85kgと上背はないが、上半身を大きく使って最速150キロの速球を投げ込む。いわゆる"真っスラ"とチェンジアップが武器だ。
「身長が低いので、球の強さで勝負するしかありません。自分は独特なフォームなので、解析というより、球質を優先的に見たいなと」
セガサミーでは4、5カ月に1回、希望者を募ってラプソードで計測の機会があり、荘司はいつも手を挙げて回転軸を見ている。この日はデータで現状を確認でき、貴重な機会になったという。
一方、練習場にトラックマンが設置されているのが、NTT東日本の片山だ。
「普段から見ている数値と、どれくらい変化しているのか。それを確認したのは、社会人日本代表の合宿中に自分のなかで投球フォームに変化があったからです」
最速151キロの片山は周囲に刺激され、「もっと速い球を投げたい」と強く思うようになったという。
「体をしっかり使い、腕がどれだけ振られるか。腕を点で『ブッ』と振るのではなく、線で『ブンッ』っていうイメージです。そう意識したら、柔らかさが出てきました。最近、手先を気にして投げていたなと」
この日の速球は2400回転で、普段の練習時より200回転アップ。アドレナリンの出る大会になると記録される数値だが、同質のフォーシームが投げられていた。
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