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社会人のドラフト候補たちも大活用 今夏オープンした「エイジェックスポーツ科学総合センター」はここがすごい! (4ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke

  この記事に関連する写真を見る 速い球を投げるうえで大事なのは、自分の長所を表現することだと片山は話す。

「トラックマンデータは真っすぐの回転軸と、縦の変化量を意識しています。(回転軸の)傾きが大きくなればなるほど、僕の場合、シュート成分が増えてバッターが打ちやすい変化になるので。軸がなるべく12時に近づくように。そうなれば縦の変化量、いわゆる伸び成分が上がってきます。球速が速くなくても、空振りが取れるのが僕の長けている部分なので伸ばしていけるように」

【アマチュア最高峰投手の上達法】

 大学4年生と同年代の片山がそう話す一方、社会人屈指の右腕・嘉陽宗一郎は自身の分岐点をこう振り返った。

「ストレートが安定してきたのはトヨタ自動車に入って3、4年目です。こう投げたら球がこういくと、わかり始めてきました。プロをあきらめてからだと思います。理由はわからないですけど」

 現在28歳、最速152キロのストレートと決め球のチェンジアップを武器にする。プロには縁がなかったものの、決して引けを取らない実力派だ。

 周囲が嘉陽に尊敬の眼差しを向ける理由は、対話しているとよくわかる。

「今の若い子は体の使い方、力の出し方がすごく上手です。球の速いピッチャーが多いので、トレーニング方法などいろいろ聞いています。自分も155キロとか投げられるように、どんどん若手の力の出し方を盗みたいと思います」

 嘉陽は2018年にトヨタ自動車に入社した頃からラプソードで週に1、2回計測し、数値は「全部意識している」という。

「狙いより中に入った時、たとえば『シュート成分が多くて中に入ってしまったんだな』と。リリースの高さも出るので、『この高さがちょっと下がったからシュート回転するんだな』と、変化はすぐにわかります」

 普段から計測、確認、調整を繰り返すことで、投球フォームの再現性が高まっていった。それがアマチュア最高峰投手の上達法だ。

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