【ドラフト2024】12球団から調査書! 神戸弘陵・村上泰斗の火の玉ストレートの秘密にラプソードのデータで迫る (4ページ目)

  • 落合初春●文 text by Ochiai Motoharu

「それまではスピードを出そうという思いが先行して、左腕を高く突き上げていました。キャッチボールのときから意識して平行に降ろしていくと、だんだんコントロールが安定するようになったんです」

 6月25日、三木山球場で行なわれた生光学園とのナイターの練習試合。村上の最後のピースがハマった。生光学園には同じくドラフト候補の右腕・川勝空人がいることもあり、10球団約40人のスカウトが集まるなか、村上は会心の投球を見せた。

 ストレートを投げればバットはことごとく空を切り、カーブも面白いように決まる。チェンジアップは観客全員を前に倒さんばかりの急ブレーキ。3回までに8奪三振、5回11奪三振無失点の好投を見せ、バックネット裏のスカウト陣の目を一気にギラつかせた。

 もともと変化球はよかっただけに最後の最後で滑り込みの大成長。夏の大会前の最終試験ともいえる一戦で、村上は「視察する価値有り」の評価を通り越し、「ドラフト上位候補」に飛び級を果たした。この日の投球を村上は「野球人生で一番のピッチング」と語った。

 浮き上がるストレートもさることながら、じつは村上の第二の武器はチェンジアップ。しかし、夏の兵庫大会では「隠し玉」にしたまま、敗れてしまった。最後の最後で完成した異次元のシナジー。一軍の大舞台で披露する日を楽しみに待ちたい。

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