【ドラフト2024】12球団から調査書! 神戸弘陵・村上泰斗の火の玉ストレートの秘密にラプソードのデータで迫る (2ページ目)
ラプソードで計測した村上泰斗のデータ/チーム提供この記事に関連する写真を見る 「143.8キロ−2618rpm」の球速と回転数もさることながら、注目は「EFFICIENCY」の項目。これは「回転効率」を示す値でストレートの正回転に近いほど、パーセンテージが高くなる。この球では「98%」となっているが、村上のストレートは「97〜100%」がアベレージ。端的に言うときれいなストレート回転で、それだけホップ成分も増す。
右側には変化量を示すグラフがあるが、村上のストレートは縦方向に「57.7cm」変化している。一般的にストレートの縦の変化量は40cm程度。一般的なストレートに比べ、村上のストレートは「17.7cm」も浮き上がっている。
今夏、村上はかすりもしない空振りを何度も奪ってきたが、それは高校生にとって見たことのない「火の玉ストレート」だったからだ。
【投手・村上泰斗を誕生させた神戸弘陵の寛容性】
えげつない球筋を見せ付け、もはや隠し玉ではなくなった村上だが、中学時代、大阪箕面ボーイズでのメインポジションは捕手。高校に入ってから本格的に投手に転向した。
「中学のチーム関係者から肩が強いキャッチャーがおるんやけど......と紹介されたのが村上でした。本人と面談してみたら、高校ではピッチャーをやりたいと言うので、『おお、ええよ』と。それがピッチャー・村上の始まりでした」
そう語るのは、神戸弘陵・岡本博公監督だ。村上の同学年には兵庫夢前ヤングでタイガースカップを制した松本奏がおり、正捕手候補に困っていなかったチーム事情もあるが、「やりたかったらやったらええやん」は、岡本監督の指導の特徴だ。
1年秋、村上は135〜136キロの球速をマークし、練習試合ではAチームで投げることも増えたが、公式戦ではベンチ外。まだ、投手として信頼できる実力はなかった。
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