センバツで好投、E判定の東大に宅浪で合格...野球と勉強をともにレベルアップしていく松本慎之介のスタイル (3ページ目)

  • 門脇 正法●取材・文 text by Kadowaki Masanori
  • 田中 亘●撮影 photo by Tanaka Wataru

【東大が優勝したら、面白い】

ーーそして、1浪で東大に見事合格。東大での現在の文武両道を教えてもらえたらと。

 東大での勉強は大変ですね。野球を本郷キャンパスでして、そのあと駒場で授業を受けるという日々です。大変ではあるんですけど、やりたかったことがすごくできているので、すごく楽しいです。

ーー現時点での、文と武の比率的はどんな感じですか?

 まだ、ちょっとつかめてないですね。野球に少し重きを置きながら、探りながらですかね。

ーー勉強での目標はありますか?

 勉強で具体的な目標はまだあまりなくて、自分の興味が湧いた方向に進んでいきたいなと思ってます。まだこれだ!ってわけじゃないですけど、農学部とかに行きたいなと思っていたり。自分のやりたいことに突き進んでいくのが今の目標です。

ーー農学部ですか?

 生物系とか、まだボヤッとしてるんですけど、僕は機械をガチャガチャやるより、なんとなく自然系が合っていると思うので。広い視野を持って、いろいろ考えたいです。

ーー野球のほうはいかがですか?

 野球としては、4年間のなかで本当に優勝したい。それしかないです。自分が先頭に立って導くのではないんですけど、自分も中心となっていけたら。東大が優勝したら、すごく面白いと思うんですよね。

ーー優勝のために、松本さん自身として、具体的にやっていきたいことはありますか?

 まだ大学野球のレベルをそんなに認識してないところではあるんですけど、球速は絶対必要だと思います。今はマックスが139キロですが、145キロから150キロぐらいまで上げたい。そこは今の一番の課題です。とにかく試合に出て、レベルを感じて、自分としてひとつの形をつくっていきたいです。

ーー最後になりますが、松本さんにとって文武両道は、どんなものになりますか?

 文武両道は全員ができることじゃないと思いますし、どちらかひとつにすごく集中して、勉強だけやる、野球だけやるというのも価値のあることだと思います。ただ僕はそのどちらかに飛び抜けていたというよりも、どっちも人よりちょっとできるくらいのところが子どもの頃からの立ち位置だったんです。

 勉強も野球もどちらともレベルを上げていく、というほうが僕は得意だったのかなと。勉強だけだったら東大には入れなかったかもしれないですし、野球だけだったら甲子園にも行けなかったかもしれない。今、目標としていた環境で、勉強も野球もできているのはすごく楽しいし、両方とも頑張っていてよかったなって思っています。

前編<甲子園4強から東大野球部への道のり「毎日1時間半の勉強はどんなに疲れていてもやる」松本慎之介が絶対に譲らなかった文武両道>を読む

【プロフィール】
松本慎之介 まつもと・しんのすけ 
2005年、東京・武蔵野市生まれ。小学3年の時に桜堤ユニバースで野球を始め、國學院久我山中時代は田無シニアでプレー。國學院久我山高では3年春に甲子園で登板し、ベスト4に貢献。1浪を経て東京大理科二類に合格し、2024年に入学。同年5月には東京六大学野球のリーグ戦デビューを果たし、1回を無安打無失点に抑えた。左投げ左打ち。

著者プロフィール

  • 門脇正法

    門脇正法 (かどわき・まさのり)

    マンガ原作者、スポーツライター。1967年、埼玉県生まれ。日本女子体育大学大学院スポーツ科学研究科修士課程修了。アニメ『ドラゴンボールZ』の脚本家である小山高生氏からシナリオを学び、マンガ原作者デビュー。特にスポーツアスリートの実録マンガを得意としており、『世界再戦ー松坂大輔物語ー』(集英社/少年ジャンプ)、『好敵手ー室伏広治物語ー』(同)、『闘球「元」日本代表ー福岡堅樹物語ー』(集英社/ヤングジャンプ)の原作を担当。現在はマンガの原作だけでなく、「少年ジャンプ」のスポーツ記事特集『ジャンスタ』を中心に、『webスポルティーバ』の「文武両道の裏側」など、スポーツライターとしても活躍中。著書に『バクマン。勝利学』『少年ジャンプ勝利学』(ともに集英社インターナショナル)などがある。

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