センバツで好投、E判定の東大に宅浪で合格...野球と勉強をともにレベルアップしていく松本慎之介のスタイル (2ページ目)

  • 門脇 正法●取材・文 text by Kadowaki Masanori
  • 田中 亘●撮影 photo by Tanaka Wataru

【予備校は行かず、あえて選んだ宅浪】

ーー高校最後の大会が終わってから、松本さんは野球から大学受験にスパッと切り替えられたんですか?

 スパッといきましたね(笑)。野球が終わったら、勉強すると決めていたんで。

ーー文武両道の切り替えがうまいタイプなのかもしれませんね。

 ただ、夏に負けて、1週間くらいは目標がなくなっちゃった感じもあって、実は、野球もやめようと思っていたんですよ。でも、すごく考えて、やっぱり東大で野球をしてみたいな、すごく高いレベルで勉強してみたいなって、そういう挑戦の気持ちが湧き上がってきて本格的に勉強し始めました。

ーーちなみに、その頃の成績はどんな感じだったんですか?

 全然ダメでした。当時の東大の合格判定は、全部E判定です。部活が終わった直後の8月に受けた模試は、440点満点で70点くらいしかとれなくて、全然わかんなくて......なんか試験時間が長いんでヒマだなみたいな(笑)。本当にそんなレベルだったんです。

ーーそこから、どうやって成績を上げていったんですか?

 具体的な時間とかはわからないですけど、勉強に全部時間かけて、全エネルギーをかけたので、感覚としてはもうずっと勉強してる感じでしたね。それなりに成績は上がったけど、現役で東大合格というところまでは、全然到達できなかった。けど、それも想定内かなと思ってました。

ーー浪人での合格を視野に入れていたんですね。1浪の時はどうやって勉強していましたか?

 基本は、現役の時から一緒で、ずっと勉強していました。けど、ちょっとは運動もしておいたほうがいいかなと思って、週1回ジムに行っていたんですが、それ以外の時間はずっと勉強ですね。それに、僕は宅浪だったんですよ。

ーー自宅浪人ということは、つまり、予備校には行かなかったと?

『月刊 大学への数学』という学習雑誌を出している出版社(東京出版)の講義「大数ゼミ」は週2で受けていました。あとは、知り合いに大学生がいて、週1で勉強の予定を聞いたり、「今この勉強をやっているんですけど、どうですか?」みたいな質問したりして。その他の空いている時間は自分で勉強していました。

ーー宅浪は自分に厳しくないとできないと思うんですが、松本さんはそういうほうが得意ですか?

 得意かどうかはわからないんですけど、自分でやるのは好きなんですよ。自分で目標を立てたり、スケジューリングしたり、ある意味マネジメントしながらやっていくのは得意かなと。

 どちらかというと、僕は大人数のなかで一方的に授業を受けるのがあまり得意じゃないので、参考書で勉強するほうが、僕的には成績が伸びる感覚があって宅浪を選んだんです。

ーー目論見どおり、宅浪での成績は上がっていきましたか?

 そうですね。宅浪をした最初のほうで、この調子でいったら普通に受かるなという手ごたえはあったかなと。

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