プロスカウトがセンバツ出場の逸材17人をリアル評価 将来的に大化けする可能性がある」と絶賛された選手は?
「長年スカウトをやっているけど、ワクワク感がなかった。対象選手が少ないというのが一番だけど、選手個々の迫力が足りなかった」
あるスカウトがそう嘆いたが、話を聞いたスカウト全員が同じような感想を漏らした。低反発の新基準バットとなり、打球は飛ばない。おまけに3月21日には雪が降るなど、例年以上に冷え込みが厳しく、投手はポケットに入れたカイロで指先を温めながら投球するという力が出しづらい状況......。選手たちには気の毒な条件が揃ってしまった。
決勝で健大高崎に敗れたが、149キロをマークするなど存在を示した報徳学園の今朝丸裕喜 photo by Ohtomo Yoshiyukiこの記事に関連する写真を見る
【高評価だった近畿勢の投手ふたり】
そんななか、一定の評価を得たのは近畿勢の投手ふたり。大阪桐蔭の平嶋桂知(かいち)と報徳学園の今朝丸裕喜(けさまる・ゆうき)だ。
平嶋は初戦の北海戦で149キロをマーク。スライダー、ツーシームに加え、130キロ台中盤のフォークを交えて7回を4安打、1失点(自責点0)、7奪三振、無四球の好投を見せた。
「上背があるし(186センチ)、角度があって腕が振れる。変化球の精度もよく、空振りが取れていた。もう少し体がゴツくなったら面白いんじゃないかな」(パ・リーグスカウトA氏)
「真っすぐが150キロ近く出て、135キロのフォークがあれば、高校生はそう打てない。あれだけ投げられるなら、指名があるのでは」(セ・リーグスカウトB氏)
「秋の神宮大会で打たれたイメージがあったので、よくなっているなという印象ですね。力が入ると(ボールに)ばらつきが出ますけど、対角線のボールがいい。フォークも投げられますし、球自体はいいですね」(パ・リーグスカウトC氏)
「球速だけで上位候補と言う人もいますが、それは疑問です。フォームは悪くないし、アベレージで145キロ出ている。スライダーもフォークもいい。それだけ揃っているのに、打者が嫌がっていないのが気になりました。あれだけの球があれば真っすぐ3球で三振をとってほしい。スライダーやフォークに頼らないといけないのが現状ですからね」(セ・リーグスカウトD氏)
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著者プロフィール
田尻賢誉 (たじり・まさたか)
1975年、神戸市生まれ。学習院大卒業後、ラジオ局勤務を経てスポーツジャーナリストに。高校野球の徹底した現場取材に定評がある。『明徳義塾・馬淵史郎のセオリー』『弱者でも勝てる高校野球問題集173』(ベースボール・マガジン社刊)ほか著書多数。講演活動を行なっているほか、音声プラットフォームVoicy(田尻賢誉「タジケンの高校野球弱者が勝つJK」/ Voicy - 音声プラットフォーム)でも毎日配信している。