大阪桐蔭の元4番・小池裕也は藤浪晋太郎と森友哉の野球教室を実現「ツンデレのふたりをくっつけたい」 (5ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tamigami Shiro

 あの夏、同級生から「ノー」を突きつけられ、歓喜の輪に入れなかった男が、今は仲間たちにとって欠かせない存在となっている。それが小池の成長の証でもあるのだろう。このことについて澤田に尋ねると、はっきりと変化を認めた。

「たしかに小池は変わりました。高校時代と比べると、ものすごくしっかりしたと思います。劇的に変わったすね」

 一昨年、小池と会っている時に、澤田から電話がかかってきたことがあった。知り合いのビルのオーナーの相談に乗ってほしいという仕事の話だった。電話が終わり、席に戻ってきた小池は細い目をさらに細めて、うれしそうにこう語った。

「頼まれごとをされたり、相談されたりするとうれしいし、しっかりやってあげようってなるんです」

 人好きで、誰に対しても壁をつくらない本来のキャラクターが、失敗を糧としながらも年を重ねていくなかで、いい味となってきているようだ。

 昨年は久米とふたりで、藤浪と森による野球教室を開催した。久米と会った際、藤浪と森がプライベートで食事に行ったことがないという話になり、「ツンデレのふたりをくっつけたいな。これはオレらにしかできへん」と盛り上がったのがきっかけだった。

 森と同級で同じ捕手でもあった久米が森を、小池は藤浪に打診した。プランを伝えると、ふたりともノーギャラで引き受けてくれ、夜はツンデレふたりを中心とした食事会で大いに盛り上がった。

「藤浪も森も喜んで引き受けてくれて、僕のディーラー時代のお客さんも来てくれたり......。少しずつですけど、西谷先生が言う『応援してもらえる人間』になれているのかなと。もちろんまだまだですけど、道は踏み外してないとは思っています」

 あの夏、失った信頼を取り戻し、少々説明が必要だったプロフィールも輝いて見えるようだ。

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プロフィール

  • 谷上史朗

    谷上史朗 (たにがみ・しろう)

    1969年生まれ、大阪府出身。高校時代を長崎で過ごした元球児。イベント会社勤務を経て30歳でライターに。『野球太郎』『ホームラン』(以上、廣済堂出版)などに寄稿。著書に『マー君と7つの白球物語』(ぱる出版)、『一徹 智辯和歌山 高嶋仁甲子園最多勝監督の葛藤と決断』(インプレス)。共著に『異能の球人』(日刊スポーツ出版社)ほか多数。

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