東大野球部主将→司法試験合格の辻居新平 弁護士、東大...超優秀4兄弟の教育方針は「両親が勉強に関与してこなかった」 (3ページ目)

  • 門脇 正法●取材・文 text by Kadowaki Masanori
  • 田中 亘●撮影 photo by Tanaka Wataru

【勉強は努力でなんとかなる部分があるが野球は...】

ーー中学・高校の野球に関しては6年間で完全燃焼できましたか?

 栄光学園の野球部は軟式で、軟式野球に関しては結構やりきったなというふうに思いますが、大学で硬式野球をやりたいという思いはありました。完全燃焼で燃え尽きたわけじゃなくて、次のステージへ進みたいという熱が野球に対してはありました。

ーーいつから東大に行きたいと思うようになったんですか?

 正確には覚えていませんが、2番目の兄に続いて3番目の兄が東大に合格した時に、目標となりました。野球もやりたかったので東大に入りたいという思いが強かったです。

この記事に関連する写真を見るーーそしてみごと東大文科一類に現役合格。高校時代、辻居さんにとっての文武両道のポイントとは?

 計画的にやることですかね。やっぱり部活をしているなかで勉強の時間がどうしても限られているし、疲れてしまって勉強できない時もあると思うんですけど、少しの時間でも机に向かうことは意識していました。

 それと、実現できない計画は立てないことも意識しました。計画は壮大に立てたくなってしまいます。たとえば、教科書を1日100ページ読むぞ、みたいな。でも、絶対できないと思うんですよ。だから、確実にできることだけを決めて、逆算していって「○カ月前までには絶対やってないといけない」という感じで動いていました。

ーー計画を立てるのは、野球でも同じだったんですか?

 けっこう不思議で、個人的な感覚なんですが、野球に関しては、勉強よりもいきなり覚醒する瞬間があるんです。勉強はある程度計画的にやれば知識がつくと思いますが、野球に関しては突然感覚をつかむことがあって、ちょっと読めない。

 逆に言うと、勉強は努力でなんとかなる部分があって、いつか目標にたどり着くと思えるんですが、野球の場合はたどり着かない恐れもあるんですよね。リアルな野球は、ゲームとは違って、能力がひとつずつ上がっていくのではなくて、いきなり10上がったりもする世界だと思います。そういう意味でちょっと性質が違うところがあるのかなと。

 ただ、勉強と野球の両方をやっていることが自分のなかでは一番よかったのかもしれないと思うんです。どちらかしかなかったら、それってすごいプレッシャーになってしまうじゃないですか。そうすると、たぶん精神的にもピリピリしてしまう。野球があるから勉強でリフレッシュできますし、逆に、勉強があるから野球も存分にやれたと思うんです。やっぱり、相乗効果は十分にあるんだと思います。

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後編<元・東大野球部スラッガーが司法の道へ 辻居新平の文武両道の極意は「勉強でもスポーツでも本気でやったほうが楽しい」>を読む

【プロフィール】
辻居 新平 つじい・しんぺい 
1997年、神奈川県生まれ。栄光学園中・高から東京大学文科一類へ進学。東大野球部時代は主将を務め、自身外野手として2017年と2018年の東京六大学秋季リーグで打率3割超えの成績を収める。その後、東京大法科大学院へ進学し、2023年の司法試験に合格。

プロフィール

  • 門脇正法

    門脇正法 (かどわき・まさのり)

    マンガ原作者、スポーツライター。1967年、埼玉県生まれ。日本女子体育大学大学院スポーツ科学研究科修士課程修了。アニメ『ドラゴンボールZ』の脚本家である小山高生氏からシナリオを学び、マンガ原作者デビュー。特にスポーツアスリートの実録マンガを得意としており、『世界再戦ー松坂大輔物語ー』(集英社/少年ジャンプ)、『好敵手ー室伏広治物語ー』(同)、『闘球「元」日本代表ー福岡堅樹物語ー』(集英社/ヤングジャンプ)の原作を担当。現在はマンガの原作だけでなく、「少年ジャンプ」のスポーツ記事特集『ジャンスタ』を中心に、『webスポルティーバ』の「文武両道の裏側」など、スポーツライターとしても活躍中。著書に『バクマン。勝利学』『少年ジャンプ勝利学』(ともに集英社インターナショナル)などがある。

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