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大阪桐蔭「藤浪世代」主将の今 会社員を辞め野球の塾長と経営者の二足のわらじ「高校の時は輝いていたのに...と思われるのは絶対に嫌」 (3ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tamigami Shiro

【いきなり代表取締役です(笑)】

 かけがえのない同級生の絆を感じていたら、「そうそう」といきなり水本が話し始めた。

「自分も10月から会社を立ち上げるんです。いきなり代表取締役です(笑)。企業と人材をつなぐ採用コンサル系です。それも体育会系、なかでも野球経験者に絞ってその人たちの就職、転職のサポート。野球一筋できた人たちと企業をつなぐ仕事です。今、事業申請中で10月1日に優良職業紹介事業者資格をとれたらスタートです。野球塾との2本柱でいきます」

 社会人時代の勤務経験が、新会社設立の動機になったという。飛び込みセールスや事務作業をするなかで、常に「自分の力を存分に発揮できる場所はここなのか?」と自問自答していたという。

「野球ありきで高校も大学も会社も決まって、大学時代までほとんどパソコンにさわったことがなかった。そもそも世の中にどんな仕事があるのかもわかっていない状態で会社に入って、ガス会社なら工業系の高校出身の人が多くて、その人たちは作業技術も知識も持っている。それに勉強できる大学を出ている人は、システム系に強い。

 そういうのがわかってくると『ここは自分が戦う場所じゃないな。これまでやってきたことをもっと生かしていかないと埋もれてしまう』と、そんなことを思うようになったんです。その頃の自分と同じ思いを抱えている野球経験者は多いと思うので、そういう人たちに出会いを提供したいと。大阪桐蔭OBにも大学や社会人まで野球を続けて、その後、仕事に就いたけど辞めて、転職する人も結構いるみたいで」

 廣畑の会社のスタッフにも協力を仰ぎ、日々ビジネスに関するレクチャーを受けながら、着々と起業への準備を進めた。それにしても、なぜ対象を野球経験者に絞ったのか。

「自分の経験上、野球をやってきた人はバイタリティや探究心、観察力、修正能力、協調性......さらにデータ班で頑張ってきた人は分析能力に長けているとか。野球をやってきたからこそ身につけた能力があると思う。その持ち味を見極めて、企業が求めるニーズに合わせてアテンドしていきたいと思ったんです」

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