大阪桐蔭「藤浪世代」主将の今 会社員を辞め野球の塾長と経営者の二足のわらじ「高校の時は輝いていたのに...と思われるのは絶対に嫌」 (4ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tamigami Shiro

【プロに進んだ同世代より稼ぎたい】

 そもそも組織運営に興味があったのか。これには「優秀なメンバーを集めて、マネジメントをするのとかは好きですね」と言う水本に、思わず「西谷(浩一)さんや」と笑って返すと、「大阪桐蔭野球部みたいな会社をつくりたいんです」と言った。

「西谷先生はいつも『最後は人や』と言うてましたが、やっぱり人。魅力ある人材と出会って、大事に育てて、ここが組織づくりの基本。決して人材を集めるだけじゃない。大阪桐蔭にはいい選手が来ますけど、すごいのは人材を生かすこと。光るものを持った人材をしっかり育てて、そういう人材を束ねて、一丸で目指すべきものに向かっていく。自分たちが新チームになって秋、春、夏と成長していったように、高校時代に学んだことを生かして、まさに大阪桐蔭のような会社をつくっていければと思います。イメージはめちゃくちゃできているんです」

 その先に目指すところは何かと尋ねると、水本は即答した。

「それはもう上場です。高校野球をやるなら日本一、会社経営で勝負するなら上場。今は上場のハードルすらわかってないですけど、口にしたら実現するとも言われているので、どんどん口に出して目指していきます。それとあとは......個人的にはプロ野球の世界に進んだ同世代より稼ぎたいです」

 同世代には大谷翔平というすごいプロ野球選手がいるが、水本は「さすがにそこは特別枠です」と笑って、こう続けた。

「プロ野球選手って、現役でやれるのは長くても40歳くらいまでで、引退すると収入はガタッと落ちるじゃないですか。だったらこっちは65歳まで右肩上がりで稼いでいけば、生涯賃金のところでは勝てる。野球では及ばなかったけど、人生の後半戦では同世代に負けたくない。そこはめちゃくちゃありますね」

 この負けん気の強さ、貪欲さは、大阪桐蔭で磨かれたのだろう。まさにバイタリティの源だ。

 昨年末、久しぶりに連絡をとると「無事にスタートしました」と明るい声が返ってきた。あの夏を人生のピークにするのではなく、さらなるピークを求めて踏み出した一歩。もちろん、紆余曲折、山あり谷ありの道が待っているだろうが、臆することはない。

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