名将・馬淵史郎監督も絶賛の「二刀流」山形中央・武田陸玖 最後の夏へ、投手として見せたいボールと打者としての課題は? (3ページ目)
【天才の意外な苦悩】
試合後、報道陣から夏に向けてアピールしたい部分を聞かれた武田は「スライダー」と答えている。
「春から真っすぐに近い変化を求めてきました。スライダーを曲げようとしすぎると質が落ちちゃうので、いかに真っすぐと同じ軌道から曲げるかを考えています」
最後に聞いてみたいことがあった。あらゆる球種に対応できそうな打撃力を持つ武田にとって、速球派投手と技巧派投手のどちらのほうが得意なのか。だが、返ってきたのは思わぬ反応だった。
「どっちも得意じゃないです。自分、メンタル弱いんで。速いピッチャーとかいいピッチャーがくると引いちゃうというか......。そこは課題ですね」
その天真爛漫なプレースタイルから、「メンタルが弱い」という境地とは無縁だろうと感じていた。だが、本人しかうかがい知れない苦悩があるのかもしれない。
今年の山形は、今や甲子園常連となった鶴岡東や、プロ注目の新星・菅井颯を擁する日大山形など強敵がひしめく。その難関を突破して、夏の甲子園に出場することは容易ではない。
それでも、武田が聖地にたどり着いたその時、多くの高校野球ファンがこの天才児の魅力にとりつかれることだろう。
(仙台育英の「天才肌」ショートにプロのスカウトも熱視線 山田脩也は「上のレベルでも求められる」>>)
【無料トークイベント情報 7月6日(木) 紀伊國屋書店・新宿本店】
菊地高弘×西尾典文 「2023年夏、プロ注目の高校球児は誰だ?」
夏の甲子園を目指す高校野球の地方大会がいよいよ開幕! 今年はどんな戦いが繰り広げられ、プロ野球のスカウトは、どの選手に注目しているのか? 『離島熱球スタジアム 鹿児島県立大島高校の奇跡』で福岡ソフトバンクホークス大野稼頭央(2022年ドラフト4位)ら離島の球児たちの奮闘を描いた菊地高弘氏と、「スカイA」ドラフト会議中継の解説者としておなじみの西尾典文氏をゲストに迎え、ディープな高校野球トークを展開していただきます。
60分ほどのトークのあと、質疑応答と菊地高弘さんのサイン会を予定しております。サイン会にご参加希望のお客様は当店にて対象書籍『離島熱球スタジアム 鹿児島県立大島高校の奇跡』(菊地高弘 / 集英社 / 税込1,760円)をご購入ください。イベント当日は会場でも販売いたします。 皆様のご参加をお待ち申しあげております。
【日時】2023年7月6日(木) 18:10開場 / 18:30開演
【会場】紀伊國屋書店新宿本店 3階アカデミック・ラウンジ
菊地高弘(きくち・たかひろ)/1982年生まれ。東京都出身。専門誌「野球小僧」「野球太郎」の編集者を経て独立。独自の切り口と取材力に定評があり、近著『離島熱球スタジアム 鹿児島県立大島高校の奇跡』(集英社)では離島の球児たちを鮮烈に描いた。「菊地選手」名義でリリースした『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット。他に『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)、『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)など著書多数。
西尾典文(にしお・のりふみ)/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析を研究。専門知識を生かした分析力を武器に高校野球、大学野球、社会人野球からプロ野球まで幅広く精力的に取材し、野球専門誌、スポーツナビ、BASEBALL KING、AERA dot. などのWebメディアに寄稿する。全国各地のアマチュア球界を網羅した情報力は他の追随を許さず、CSテレビ「スカイA」のドラフト中継番組の解説者として欠かせない存在となっている。
著者プロフィール
菊地高弘 (きくち・たかひろ)
1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。
【写真】大阪桐蔭・前田、花巻東・佐々木・・・「2023年ドラフト戦線」主役の10人
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