仙台育英VS下関国際、甲子園決勝の行方は? 両校ともに粘りの打線と継投策が特長、監督同士の読み合いが興味深い (3ページ目)

  • 田尻賢誉●文 text by Tajiri Masataka
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 両監督が今大会で仕掛けたヒットエンドランを見ると、須江監督は無死一塁で5度、一死一塁で4度。カウントは初球が4回、1ボール0ストライクが3回、1ボール1ストライクが2回。初球から積極果敢に攻めてくることが多く、3球目までの早いカウントで勝負にくる。

 坂原監督は無死一塁が1回、1死一塁が2回、2死一塁が1回。さらに富島戦では一死一、二塁からも仕掛けている。カウントは初球が1度、1ボール1ストライクが1度、2ボール1ストライクが2度、3ボール1ストライクが1度となっている。ちなみに、須江監督も昨秋の東北大会で走者二塁からのエンドランを敢行しており、どちらの監督も走者一塁の場面に限らず、走者を動かしての攻撃を見せる。

 試合の主導権を握りたい序盤、試合が膠着状態になった時、劣勢を打破したい場面ではエンドラン攻撃が多くなる。どちらが得意技を決めるのか、あるいは決めさせないのか。監督同士の読み合いに勝ったほうが優位に立つ。

仙台育英が誇る強力投手陣

 共通点の多い両チームだが、唯一、異なるのが投手層の厚さだ。初戦の鳥取商戦で史上初の5投手による継投完封を達成した仙台育英は、全員が140キロ台をマークする盤石の布陣。右2人、左3人と左右のバランスがいいのに加え、5人も抱えるだけに下関国際打線が球数を稼いだとしても次々に好投手を出すことができる。準決勝は2年生の3投手で投げきった。3年生の古川翼、齋藤蓉の両左腕が休養十分で臨めるのは大きい。

 下関国際は左腕の古賀康誠の出来が大きなカギを握る。初戦から立ち上がりに不安を残し、準決勝は2回途中で降板。二枚看板の右腕・仲井慎も力があるが、準決勝で130球を投げた疲れが心配だ。

 仙台育英は準々決勝、準決勝と2試合続けて序盤に大量点を挙げており、古賀が4〜5回まで踏ん張れなければ苦しい展開になる。ここまで下関国際は4試合すべて先攻。仙台育英は4試合中3試合が後攻。おそらく決勝は下関国際の先攻になるはず。先制点を奪って古賀を楽にしたい。

 104回目を迎えた大会で仙台育英が悲願の東北勢初優勝を果たすのか。センバツ優勝の大阪桐蔭、準優勝の近江を破った勢いで下関国際が頂点まで駆け上がるのか。初優勝をかけた戦いは22日14時にプレイボールする。

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