仙台育英VS下関国際、甲子園決勝の行方は? 両校ともに粘りの打線と継投策が特長、監督同士の読み合いが興味深い

  • 田尻賢誉●文 text by Tajiri Masataka
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 ボールを振らない、ファウルを打つ。なかなかアウトになってくれないのが、決勝に進出した仙台育英、下関国際の打線だ。

 両校ともに4試合を戦い、相手に投げさせた球数の合計は仙台育英が623球、下関国際が660球。仙台育英は準決勝で聖光学院投手陣に239球も投げさせ、下関国際は初戦からの4試合すべてで160球以上投げさせている(富島162球、浜田172球、大阪桐蔭164球、近江162球)。

 相手投手の1イニング平均投球数は仙台育英が18.88球、下関国際が18.33球だ。酷暑のなかでの試合に加え、疲労の溜まる後半戦。相手にとって厄介なことこの上ない。

ともに初優勝を目指す仙台育英・須江航監督(写真左)と下関国際・坂原秀尚監督ともに初優勝を目指す仙台育英・須江航監督(写真左)と下関国際・坂原秀尚監督この記事に関連する写真を見る

相手投手を苦しめる驚異の粘り

 仙台育英打線に初回から2イニングで2投手合計72球も投げさせられた聖光学院の斎藤智也監督は、お手上げという表情でこう言った。

「追い込んでもファウルで粘られる。想像以上に相手打者の対応に苦しめられました。ファウルをこれだけ打たれるとピッチャーにとって苦しい。打ち損じの打球がもう少し中(フェア地域)に入ってくれればいいですけど、序盤からファウルの多さは監督としても『まいったな』と思って見ていました」

 一方、エースの山田陽翔が6回で100球を超える苦しい投球を強いられた下関国際打線について、近江の多賀章仁監督ばこう漏らした。

「2ストライクに追い込んだ状況で非常に粘られた。2ストライクまではいくんですけど、各打者が『食らいついていこう』と向かってくる。ちょっと甘く入るとしっかり食らいつかれました」

 準決勝で仙台育英はファウルが24球。そのうち2ストライクからのファウルは9球だった。下関国際はファウルが21球。追い込まれてからのファウルは仙台育英を上回る10球もある。特筆すべきは両校ともに4番打者がもっとも粘っていること。仙台育英は齋藤陽、下関国際は賀谷勇斗が2ストライクから合計5球もファウルを打った。これが両校の打撃の姿勢を表している。

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