スカウトがこの夏の甲子園で注目した10人のスラッガー。「ドラフト1位候補は?」「ヤクルト村上の弟の本当の評価は?」 (3ページ目)

  • 田尻賢誉●文 text by Tajiri Masataka
  • photo by Ohtiomo Yoshiyuki

 190センチ、92キロと堂々たる体躯の前田一輝(鳴門)は、近江の山田陽翔から右中間突破の三塁打を放った。さらにマウンドにも上がり、144キロをマークするなど肩の強さも見せた。

「まさにオリックス・杉本裕太郎のイメージですね。体格がいいので当たれば飛ぶし、肩は抜群。選手としての雰囲気がいい。時間はかかるかもしれませんが、プロが育ててみたいと思わせる選手です」(パ・リーグスカウトA氏)

 投打"二刀流"として活躍した石川ケニー(明秀日立)は、仙台育英戦で3安打を放つなどバッティングでアピールした。

「左投左打で、足も速くないので評価は分かれるところですが、バッティングはすばらしいです。4年後には、(今年のドラフトで上位候補と言われている)蛭間拓哉(早稲田大)ぐらいになるんじゃないかという期待が持てます」(セ・リーグスカウトD氏)

内野手は現時点では人材難

 また捕手にも人材が揃っており、松尾に続くキャッチャーとして2人の名前が挙がった。ひとりは山浅龍之介(聖光学院)だ。

「春はそこまで印象に残りませんでしたが、夏になってよくなっていました。バッティングは、右ピッチャーの膝もとのスライダーに空振りしていたのが、しっかり対応できるようになっていた。スローイングもよくなっていましたし、高卒のキャッチャーがほしい球団なら指名があるかもしれません」(パ・リーグスカウトC氏)

「強肩だし、スローイングの正確性もある。まだキャッチングに課題はありますが、バッティングも以前は左投手に対して全然ダメだったのですが、春の東北大会あたりからよくなってきました。これからの成長が楽しみですね」(セ・リーグスカウトB氏)

 もうひとりは野田海人(九州国際大付)。春夏ともに甲子園ではインパクトを残せなかったが、素材は高く評価されている。

「二塁送球の素早さは高校生屈指です。バッティングはまだ時間がかかりますが、キャッチャーとして育ててみたい逸材です。将来的に『この世代の高卒キャッチャーでは一番』になるぐらいの可能性を秘めています」(パ・リーグスカウトA氏)

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