甲子園準々決勝以降のカギは「守備力」。エラー急増の今夏で唯一、内野手の無失策は聖光学院だが... (2ページ目)

  • 田尻賢誉●文 text by Tajiri Masataka
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

馬淵監督が語る失策急増の理由

 なぜ、今年はこんなにもエラーが多いのか。原因は何なのか。今年も高知大会4試合でわずか3失策。毎年全国屈指の堅守のチームをつくる明徳義塾・馬淵史郎監督に理由を聞いてみた。

「とにかくグラウンドが固い。雨がしばらく降ってなかったから、軟式ボールと同じような跳ね方をします。いつも雨が適度に降るけど、今回は一回も(試合が)流れてないでしょ。開会式の前に雨が降って、(グラウンドに)シートをかぶせたけど、『シートを敷かずにじっくりしめらせたらよかった』って言う人もいたと聞いたよ」

 雨にたたられた昨年とは違い、今年の夏は好天に恵まれている。そのせいで、守りづらいグラウンドになってしまっているというのだ。

「エラーをしているのは、高いバウンドが多い。左バッターの振り遅れた打球がサードの頭を越えるなんて、グラウンドの固さ以外何ものでもないですよ。セカンドベース寄りの二遊間のゴロは捕れんもんね。あのあたりの高いバウンドは非常に難しい。ウチも(大阪入り後の)練習会場では高いバウンドの練習ばっかりしたよ。躊躇せずにショートバウンドで入る。待ったらセーフの時はギャンブルで前に行くしかない。そういうバウンドがものすごく多いのは、試合をやる前から感じていました」

 高いバウンドは厄介だ。捕球したとしても目線が浮き、上体が高くなってしまうため、送球が浮きやすくなる。高いバウンドの打球を捕球後に送球が高く逸れるエラーも数多く出ている。

 エラーといえば、内野ゴロの失策が思い浮かぶが、今大会は外野手のミスも目立つ。エラーは記録されなくても、ゴロの捕球に手間取り、余計な進塁を許すケースが数多く見られる。これにも原因があると馬淵監督は言う。

「外野の芝が相当傷んでるから、ワンジャッグルが多い。それで余計な進塁を許したり、一気にホームまで還られたりする。ウチの選手も言うとったけど、『うしろに守っていて定位置付近のゴロを捕る時にイレギュラーがある』と。定位置に守っていて、それより前のゴロのイレギュラーは少ないけど、うしろに守っている時は要注意です」

 3回戦の聖光学院対敦賀気比との試合で、聖光学院のレフト・狩野泰輝が弾いたのは、まさにそんな打球だった。

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