甲子園準々決勝以降のカギは「守備力」。エラー急増の今夏で唯一、内野手の無失策は聖光学院だが...

  • 田尻賢誉●文 text by Tajiri Masataka
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 野球必敗法をご存知だろうか。必ず勝つのではなく、必ず負ける。必勝法ではなく、必敗法だ。勝ちに不思議の勝ちはあるが、負けに不思議の負けはない。勝ち方には何通りもあるが、負け方には必ず共通点がある。少年野球からプロ野球まで、共通するのが必敗法だ。

 敗戦に直結してしまう必敗法とは「3B+E」。3つのBはB(四死球)、B(バント失敗、バント処理ミス)、ボーンヘッド(アウトカウントの間違え、サインミスなど)。そしてEは誰もがわかるとおり、エラー(失策)だ。

 この「3B+E」をいかに減らすかが、試合に負けないための大原則となる。

堅守でチームを牽引する聖光学院の遊撃手であり主将の赤堀颯堅守でチームを牽引する聖光学院の遊撃手であり主将の赤堀颯この記事に関連する写真を見る

両チーム計5失策以上は7試合

 ところが、今年の夏の甲子園はエラーが多い。鶴岡東対盈進戦、興南対市船橋戦、県岐阜商対社戦、高松商対佐久長聖戦で最多の7失策を記録したのを筆頭に、両チーム合計5失策以上の試合が7試合もある。両チームがノーエラーの無失策試合は天理対山梨学院戦、日大三対聖光学院戦の2試合だけ。全チームが初戦を戦った25試合の平均失策数は3.28個だ。

 あまりにも多くて気になったので、過去10大会分のエラー数を調べてみた。

2021年/失策数(100)/1試合平均(2.17)
2019年/失策数(106)/1試合平均(2.21)
2018年/失策数(123)/1試合平均(2.24)
2017年/失策数(114)/1試合平均(2.38)
2016年/失策数(121)/1試合平均(2.52)
2015年/失策数(131)/1試合平均(2.73)
2014年/失策数( 81)/1試合平均(1.69)
2013年/失策数(102)/1試合平均(2.13)
2012年/失策数(111)/1試合平均(2.31)
2011年/失策数(114)/1試合平均(2.38)
※試合数は48試合だが、2021年は46試合、2018年は55試合

 1試合平均失策数がもっとも多かったのは2015年の2.73個。2016年以降の5大会を見ても、2.1個〜2.6個に収まっている。3個を超えた年は一度もない。そもそも、守備の悪いチームは甲子園には来られないだろう。甲子園に来て打球の速さが上がるなどレベルが変わるとはいえ、異常な多さであることは間違いない。

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