鳴門が「ぶっつけ本番」で大阪桐蔭に挑む。昨秋防御率0点台エースと190㎝90kgの「鳴門のラオウ」は躍動できるか (2ページ目)
危機にもポジティブな選手たち
しかし、応接室を出てグラウンドに出ると、選手たちの表情はつとめて明るかった。
打者陣は「おりゃ!」と叫びながらフルスイングでロングティーをすれば、フリーバッティングでは先に投手トレーニングを終えた冨田も勝負を楽しむ様子で打ち込む。そんな笑顔の集団の中心には、「練習試合をやりたい気持ちはありますけど、これは仕方ないことなんで」と語る、主将・三浦鉄昇(新3年、遊撃手)の姿があった。
秋の県大会を終え、2018年夏の甲子園に出場した兄・光翔(現:山梨学院大4年)と同じ主将の座に就いた三浦の持ち味は「親分肌」。練習では絶妙なタイミングで周囲をいじりつつ、試合では自ら躍動感あふれるプレーで周囲をけん引する。鳴門が練習から高いテンションをキープできるのは、熱さと冷静さを使い分ける三浦の存在が大きいだろう。
"彼がいれば、メンタル面は大丈夫かな"と思いながら、マウンド上に目をやると......、ひときわ目立つ大男が。この日はバッティングピッチャーを務め、次々と主力打者を詰まらせてドヤ顔を浮かべていた前田一輝(新3年)。ロングティーでは130m先の防球ネットを超える驚弾を連発する190㎝90kgの超大型の右打者であり、同郷のオリックス・杉本裕太郎を彷彿させるプレーに一部では「鳴門のラオウ」とも称される4番打者だ。
前田は、昨秋は中堅手の傍ら投手としてマウンドに立つも、成績はやや振るわず。冬場に入る前の取材では、「4番を打たせてもらっているので堂々と戦わないと......」と、やや自信喪失気味だった印象。ただ、前田が紅白戦で自己最速の144キロを出したと報告してくれたコーチ陣の話を聞くかぎり、甲子園では大いに期待できそうである。
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