ドラフトの主役になれるか。創価大左腕はあのパ・リーグ新人王を超える逸材だ (2ページ目)
だが、そんな状態で被安打1、奪三振13の完封勝利を挙げてしまう事実が、鈴木の非凡さを如実に物語っている。
鈴木本人は球速が出なかった要因として「初戦ということで緊張感があって体が硬かった」と語っている。また、本人は言い訳をしなかったものの、爪の状態が万全ではない事情もあった。
しかし、球速は常時140キロ前後に留まっても、ホームベース付近で勢いが死なない鈴木のストレートは次々と杏林大打線から空振りを奪った。鈴木も「2ストライクに追い込んでから真っすぐで空振りを取れたので、進歩していると感じました」と手応えを語っている。
そして大きな進歩を見せたのは、変化球の精度である。昨秋は一級品のストレートを披露した一方、変化球はばらつくケースが目立った。鈴木は変化球の質向上を目指し、この冬場に取り組んできたという。
「レベルが上がると、真っすぐだけでは抑えられないバッターばかり。でも、去年は変化球が甘く入ったり、ストライクが入らなかったりしていました。変化球が今年の課題だったので、キャンプから克服するために練習してきました」
ストレートと同じ感覚で変化球を投げるため、ブルペンではストレートと変化球を交互に投げて感覚を近づけた。また、打者にブルペンの打席に立ってもらい、「どこに目がけたら狙った場所にいくか?」と目標を定めながらコントロールを磨いた。
杏林大戦ではストレートだけでなく、スライダー、カーブ、チェンジアップの全球種で三振を奪った。鈴木は「今日は収穫がありました」と総括した。
そしてもうひとり、鈴木への評価を聞いてみたい人物がいた。創価大の佐藤投手コーチである。
佐藤コーチは現役時代に社会人・プリンスホテルのエースとして活躍し、1992年にはバルセロナ五輪野球代表として銅メダルを獲得した野球人だ。現役引退後は創価大コーチとして、八木や小川泰弘(ヤクルト)、石川柊太、田中正義(ともにソフトバンク)らを育成している。
鈴木が八木を超える逸材か否かを尋ねると、佐藤コーチはこう答えた。
「八木には全般的なセンスがありましたし、鈴木は体の力の強さがあります。それぞれに投手としてのよさがありますから一概には言えませんが、鈴木が八木に匹敵するだけの能力はあります」
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