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ドラフトで史上3度目の珍事発生か。「ドラ1はすべて投手」の可能性

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 あるところから原稿の依頼を受け、今年のドラフト候補について調べていたら、とんでもないことに気づいた。スラスラっと出てきた1位指名候補の選手がすべて投手だったのだ。現時点でドラフト1位候補は以下の選手である。

達孝太(天理)/投手/右投右打
小園健太(市和歌山)/投手/右投右打
畔柳亨丞(中京大中京)/投手/右投右打
森木大智(高知)/投手/右投右打
松浦慶斗(大阪桐蔭)/投手/左投左打
関戸康介(大阪桐蔭)/投手/右投右打
三浦銀二(法政大)/投手/右投右打
山下輝(法政大)/投手/左投左打
徳山壮磨(早稲田大)/投手/右投右打
竹田祐(明治大)/投手/右投右打
鈴木優斗(創価大)/投手/左投左打
佐藤隼輔(筑波大)/投手/左投左打
椋木蓮(東北福祉大)/投手/右投右打
廣畑敦也(三菱自動車倉敷オーシャンズ)/投手/右投右打

 1965年にドラフト制度が始まって、これまで1位指名がすべて投手だったのは過去に2度しかない。2018年のように1位指名に野手が6人ということもあるが、ほとんどは投手が占めている。とはいえ、ここまで野手に1位候補がいないというのも珍しい。

 今年のドラフトは本当に目玉となる野手がいないのか......もう一度、目を皿のようにして探してみると、ようやく2人の野手が出てきた。正木智也(慶応大/右投右打)と阪口樂(うた/岐阜第一/右投左打)である。

慶応大の不動の4番・正木智也慶応大の不動の4番・正木智也 慶応大の不動の4番・正木は、この春のシーズンで急激に頭角を現した。慶応高校時代から高校生離れした長打力を持ったスラッガーで、その存在は関係者やファンの間で広く知られていたが、今春リーグ戦前の「東京六大学-社会人対抗戦」でHondaのルーキー・片山皓心(ひろみ)から神宮球場の左中間最深部にライナーで叩き込んだ打球には驚かされた。

 春のリーグ戦でも法政大のドラフト1位候補・山下輝の150キロ近いストレートを、今度は神宮球場のレフトスタンド上段に持っていった。

 豪快な力感は感じないが、スッとバットを振り抜いて「どうしてそこまで飛ぶの......」と思ってしまうぐらいの飛距離が出る。まさに「本物のスラッガー」の資質を持った選手だ。

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