甲子園で球児たちに聞いた「白スパイク」の効果。32校中14校が導入 (3ページ目)

  • 田尻賢誉●文 text by Tajiri Masataka
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 自身の経験から、エンジだったアンダーシャツ、ストッキングを白に変更。現在は、帽子からユニフォーム、アンダーシャツ、ストッキングまですべて白にした。

「逆に、もし出られるとしたら、秋の東北大会の時期は寒いので、その時はエンジのアンダーシャツに戻すのもいいですね。とにかく沿岸部の久慈の子は暑さに弱いので、白はいいですね。スパイクも次に買うときは白にしようと言っています」

 ちなみに、従来どおり黒スパイクを使用していた中京大中京の高橋源一郎監督はこう語っていた。

「うちはユニフォームの色(ユニフォームは白で、帽子、アンダーシャツは黒)を考えたら、白だとちょっと......というのがありますね。それに黒スパイクのほうが締まって見えるので。温度のことを聞くと、ゆくゆくは(白スパイクの使用を)考えなければいけないかもしれないですけど、今のところ予定はないですね」

 見た目以外で問題があるとすれば、コストだろう。明徳義塾の馬淵監督は「練習から白スパイクを履いていると、(汚れて)黒くなってくるんよ」と語っていた。それなら練習用に黒スパイク、試合用に白スパイクと使い分ければいいが、それだと2足買う必要が出てくる。ただでさえ、野球道具は数が多いうえに高額なものが多い。費用の問題で2足は持てないという選手が出てくる可能性はある。

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 ただ、それも来年までの移行期間で解消されるだろう。入学の時点で「うちの学校は黒スパイクです」「うちは白スパイクです」とわかっていれば、全員が入学時に買い揃えることができる。

 黒に比べて汚れやすいのは否めないが、毎日しっかり磨き、手入れさえすれば問題はクリアできるはずだ。それよりも10度も熱さが軽減されることを考えれば、白スパイクは「あり」と言えるだろう。

 今夏も全国各地で酷暑が続き、今年から関東甲信越で試行された熱中症警戒アラートは連日発令されている。少しでも球児の体への負担を軽減するためにも白スパイクはもちろん、ヘルメット、アンダーシャツを白にするチームは、今後増えてくるかもしれない。

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