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プロ注目・中央大の牧秀悟。
「4番は黙ってランナーを還す」の心意気 (5ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 大学最終学年に入ってからコロナ禍に見舞われ、対外試合を禁じられるなど不自由な日々が続いている。7月には、中央大の野球部以外の運動部寮からコロナ感染者が出るアクシデントもあった。だが、牧は前向きに日々を過ごしている。

「野球ができない、しっかり動けていない人もいるなかで、自分たちはやれているので。できているのを当たり前と思わず、この環境を大事にやっていきます」

 そして、牧は冗談めかしてこう続けた。

「大学の授業がオンラインになって、いつもはテストを受けるところをレポート提出でよくなったので。その点ではラッキーだなと思います」

 最後に牧に聞いてみた。なぜプロ野球選手になりたいのか、と。ドラフト候補には必ずする質問だが、牧は意外なことを口にした。

「自分の地元は田舎で、野球人口が本当に少なくなってしまいました。そんなところから自分がプロになったら、子どもたちに野球がもっと楽しくなる、影響を与えられると思うんです。記録より記憶に残る選手になりたいんです」

 どことなく土の匂いがする右の強打者・牧秀悟。故郷への思いを胸にバットを振る職人の名前は、秋が深まるにつれ自然と見る機会が増えていくに違いない。

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