大阪桐蔭の応援団長が「パワプロ」で覚醒⁉新記録樹立でドラフト候補へ (7ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 開眼のきっかけがゲームにあることは確かのようだが、この言葉を額面どおりに受け止めると、大石という選手の本質を見誤るかもしれない。チーム内で誰よりもグラウンドで過ごし、ストイックにトレーニングに励む姿をチームスタッフは目にしているからだ。

 藤原監督はこう証言する。

「自分からは言わないんですけど、ここまで伸びたのは彼の努力あってこそだと思います。190人近い部員がいるなかで、誰よりも早くグラウンドに来て、自分のバッティングに納得いかなければ遅くまで残って練習している。高校時代に控えで悔しい思いをしたからこそ、強い思いを秘めて取り組めたのだと思います。もともと飛ばす能力はありましたが、トレーニングの成果で体をしなやかに使えるようになり、ボールについていけるようになりました」

 昨秋の大爆発を受け、大石は西谷監督から「どないしたん?」と驚かれたという。

「西谷先生から『よかったやん』と言ってもらえてうれしかったですね。高校時代は期待を裏切ってばかりで、褒めてもらった記憶があまりないんです。『なんでそれを高校の時にやらんねん!』とも言われましたけど」

 そう言って、大石ははにかんだ。西谷監督には、「パワプロ効果」の件はとても言い出せず、伏せておいたそうだ。

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