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「キャッチボールは必要?」。ドラフト
候補が考えたいきなり全力投球の調整法 (5ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Sankei Visual

「本当ならもっと力を出せるのに......という思いはありましたけど、それでも抑えられたのは気持ちで負けていなかったから。僕は技術ばかり追い求めていると見られがちなのですが、それだけじゃない部分も見せられたと思います」

 昨年は左右両足の太ももの長さは6センチも差があり、アンバランスな状態だった。だが、昨年オフのトレーニングで改善され、心身ともに充実したコンディションで迎えた大学最後の春。伊藤の身に降りかかったのがコロナ禍だった。

 4月に緊急事態宣言が発令されてから2カ月近く、個人練習の期間になった。だが、日頃から自己管理や調整法を工夫していた伊藤にとって、大きな戸惑いはなかった。むしろこの時期を「プラス要素に換えられた」という。

「最近器具を使ったトレーニングに頼りすぎていて、自分の体を扱うためのランニングや自重トレーニングが疎かになっていたんです」

 アマチュアながらTwitterやYouTubeで積極的に情報発信をしており、見ず知らずの選手、保護者から技術的なアドバイスを求められることも多い。このスタイルは、憧れのダルビッシュ有(カブス)から受けた影響も大きいという。

「もしプロになれたとしても、情報発信は続けていきたいですね」

 ここまで精神的に自立した選手に、「将来どんな選手になりたいですか?」と質問するのも野暮に思える。そこで、「どんな存在になりたいですか?」と尋ねると、伊藤は少し考えてからこう答えた。

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