「日本一空気の読めない高校」と言われた
盛岡大付の主将がまさかの転身

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kikuchi Takahiro

 高校で野球をやめた藤田は、職業を転々としたあと、現在は外資系企業の営業として働いている。その一方でキックボクシングをはじめ、プロを目指している。

「もともと格闘技に興味があって、最初はストレス発散でジムに通うようになったんです。でも、いろんなトレーナーの方から『ちゃんとやったら、いいところまでいけるよ』と言ってもらえて。ここ1〜2年で本気になりました」

 野球のような団体競技なら自分のミスは周りがカバーしてくれることもあるが、個人競技は結果がすべて自分に返ってくる。その恐怖と背中合わせの世界で、藤田は充足感を覚えている。

 ところが、藤田がアマチュアAクラスに昇格した矢先、コロナ禍に見舞われた。ジムは閉鎖され、出場予定だった大会は中止になった。藤田は「勢いに乗っていたので、結構、気持ちが萎(な)えてしまいました」と明かす。

 現在は会社を起業しようと、並行して経理の勉強もしているため、トレーニングの時間をつくるには相当なモチベーションが必要になる。仕事が忙しくなれば、練習ができなくなる。そんなジレンマを抱えて日々を過ごしている。

 そんな藤田に、最近になって盛岡大付のコーチから連絡があった。

「後輩たちにメッセージ動画を送ってくれないか?」

 今夏の甲子園を失った後輩たちに向けて、歴代のキャプテンにメッセージ動画の撮影を依頼していたのだ。

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