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超絶守備の近江・土田龍空。甲子園に
残した「忘れ物」はプロの舞台で取り戻す (7ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 誰もが土田のように、楽しく高校野球ができているわけではない。なかには、「死んでもいい」と悲壮な覚悟で高校野球に向き合ってきた球児もいる。土田の言葉が響かない球児もいるかもしれない。

 だが、土田としても、能天気にメッセージを発信したわけではない。「苦しい時こそ笑顔」という言葉は、大好きな先輩からかけてもらった言葉だった。

「去年の夏、甲子園でエラーして落ち込んでいた僕に、板坂豪太さん(現・福井工業大)が『龍空、苦しい時こそ笑顔やぞ!』と励ましてくれて、この言葉がすごく心に残っていました。甲子園がなくなったと決まった時、『あ、今やな』と思ったので、書かせてもらいました」

 甲子園に残した忘れ物は取りにいけなかった。だが、土田龍空は今日も空を自由に駆け回るように、打球を追いかける。希望進路は「プロ一本」だそうだ。

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