大会の主役・オコエ瑠偉をNo.1左腕・小笠原慎之介は「石直球」で料理した (2ページ目)

  • 楊順行●文 text by Yo Nobuyuki
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

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 この試合、4打数3安打4打点と爆発すると、中京大中京(愛知)との3回戦では初回二死満塁のピンチに、抜けたら走者一掃という長打性の打球を超ファインプレーで捕球。興南(沖縄)との準々決勝では、同点の9回に苦手な内角球をレフトスタンドに運ぶ決勝2ラン。

 打って、走って、守って......過去、ホームランを量産したり、150キロ超の剛球でスタンドを魅了した選手は何人もいるが、足でここまで人気を得た球児は記憶にない。しかも、盗塁をしまくったのならわかりやすいが、意外なことにオコエの甲子園での盗塁は0。つまり、数値ではなく鮮烈なスピードそのものに目を奪われたのだ。

 そして準決勝での小笠原との対決。点差はまだあるが、一打出れば流れが大きく変わりかねない。しかも、オコエはその前の打席で吉田からヒットを放っており、調子は上向いていた。どのチームも「乗せてはいけない選手」がいるが、オコエはまさにそれ。マウンドの小笠原も「ここが勝負どころ」と感じていた。

 小笠原は大会ナンバーワン左腕として、神奈川大会で27イニングを自責点0に抑え、前年夏に続いて甲子園にやってきた。

 聖光学院(福島)との初戦(2回戦)は、吉田に先発を譲り、9回一死からリリーフすると、1人目の打者へのストレートが151キロを計測。甲子園で150キロを超えた左腕は、2005年夏の大阪桐蔭・辻内崇伸(元巨人)、2009年夏の花巻東(岩手)・菊池雄星(現・マリナーズ)に次ぐ史上3人目の快挙だった。小笠原のストレートは"石直球"と言われ、その破壊力は凄まじいものがあった。

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