2020.06.11

山田哲人がドラ1指名を確実にする一発。
歳内宏明から超技ありの一打だった

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

こんな対決あったのか!
高校野球レア勝負@甲子園
第11回 2010年夏
山田哲人(履正社)×歳内宏明(聖光学院)

 阪神期待のルーキー・井上広大から昨年、つまり履正社(大阪)のスラッガーとして注目された時、話をするなかで何度も同じセリフを聞いた。

「あのホームランを見て、履正社に行きたいと思ったんです」

 井上が言う「あのホームラン」とは、2010年夏の甲子園で履正社の3番・山田哲人が聖光学院(福島)の2年生エース・歳内宏明(元阪神)から放った一発だ。プロ入り後も取材のなかで話題に上がるなど、山田本人にとっても思い出深い一発は、彼の技術が詰まった一打でもあった。

聖光学院戦でホームランを含む2安打2打点と活躍した山田哲人 当日つけていたスコアブックには、この1球に「g」と記している。自分だけのオリジナル記号だが、これは"逆球"という意味で、その横に"反応、回転、真骨頂!"という走り書きもある。またこの一打に、ネット裏の記者席から「これが山田の言っていたバッティングか......」という声が聞こえてきたことも思い出す。

 当時の状況を少し説明すると、あの年の大阪は山田のほかにPL学園の吉川大幾(現・巨人)がドラフト候補として注目を集めていた。それぞれ取材する機会も増えたが、ふたりのキャラクターはじつに対照的だった。

 吉川は負けん気が強く、打撃についてもこだわりを熱っぽく語るタイプ。対する山田は、色白の顔をいつもニコニコさせながら穏やかに話し、バッティングについては感覚派。極端に言えば、「何も考えずに来た球を打ったらヒットになりました」というタイプだった。