ハンカチ世代で「MLBに最も近かった男」。挫折を経て歩む指導者の道 (4ページ目)

  • 高木遊●文 text by Takagi Yu
  • photo by Takagi Yu

 チームは昨年秋の入替戦を制して千葉県大学リーグの一部に復帰した。

「初めて来た時から思っていますが、本当に楽しみな選手が多いんですよ。六大学や東都に比べたら、エリート選手はいません。みんな(高校)最後の夏に悔しい思いをしている子が多い。そのなかでも『こうなったら面白いな』『この子は絶対に伸びてくる』と、楽しい目で見ています。野球は面白いですし、奥が深いんです」

 野球への探究心は増すばかりだと言う。だからこそ、聞いてみたくなかった。「もしも今、目の前にかつての自分がいたら、どのように指導しますか」と。

 すると村松は「苦しんでいる自分がそこにいるんですよね? 難しいな......」と考え込んだあと、「間違いなく言えることはあります」と言葉を紡いだ。

「今は、当時と意識や考え方は真逆です。当時は『昔はこうだったよな』と過去の自分ばかり追い求めていた。でも、それがダメなら新しい自分をつくらないといけません。今が大事で、過去がどうとか関係ない。だから僕は伸びなかったんです」

 13年前、19歳の村松が描いた未来とは、まったく違うところに来たのかもしれない。だが、彼の野球人生は今も幸せに続いている。それはあの夏と変わらない。

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