あえて指名凍結を選択。強心臓右腕が術後に驚異的回復→再びドラフト候補へ (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kikuchi Takahiro

 入社2年目の都市対抗では、新日鐵住金鹿島(現・日本製鉄鹿島)戦で5者連続奪三振と強烈なインパクトを残している。だが、西田は昨秋のドラフト時点で指名凍結を申し出ている。つまり、「プロには行かない」と決めたわけだ。

「プロに行けたとしても、このヒジでは即戦力で使ってもらえないし、活躍できる気がしなかったんです。もう1年社会人でしっかりと力をつけて、あらためて挑戦したいと思いました」

 太田が上位指名を受けて脚光を浴びるなか、西田は人知れず右ヒジの手術を受けていた。痛みの元になっていたヒジの遊離した軟骨を内視鏡で除去して、リハビリ生活へ。ところが、入社1年目もヒジの手術を経験している西田は驚異的な回復を見せる。

「初めて手術する人は術後にヒジを伸ばすのが怖くて、伸ばせるようになるまで時間がかかるんです。でも、僕は二度目だったので、ヒジが伸びることはわかっていました。だからリハビリにも時間がかからずに、11月の終わりにはもう普通に投げ始めていましたね」

 時を同じくして、肉体改造にも着手した。週4日のウエイトトレーニングで全身を強化し、課題だったストレートの球速アップの克服を目指した。

 効果は春先から表れる。不安なく腕が振れるようになり、昨年まで130キロ台後半だった平均球速が、140キロ台前半に上がった。これまでの最速だった147キロも肌寒い春から頻繁に計測し、さらに増速する気配がある。西田は「ストレートが速くなったので、カットボールなどの変化球も全体的に速くなって、キレも出てきました」と手応えを語る。

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