スカウトも唸る光星学院・武岡の守備力
「高校時代の坂本勇人より上」 (3ページ目)
だが、本人が「自分が打たないとチームは乗っていかない」と語っていた打撃で、逆に課題を露呈することになった。この日、最速150キロを計測した広陵の好右腕・河野佳にねじ伏せられたのだ。
1打席目は外角のチェンジアップを一二塁間に運び、50メートル走5秒9の快足を飛ばして内野安打を勝ち取った。ところが、2打席目は内角高めのストレートに詰まらされてサードフライ。3打席目のレフトフライを挟み、迎えた第4打席が象徴的だった。
2点ビハインドを追う8回表、二死二、三塁という一打同点のチャンス。武岡は河野が投じたインコースの141キロのストレートに詰まらされ、力ないショートフライに倒れた。2打席目同様、インコースの球をさばききれなかった。チャンスを逃した八戸学院光星は広陵・河野の前にわずか3安打しか打てず、0対2で完封負けした。
試合後、武岡は完敗を認めた。
「広陵は今までの光星の試合を研究して、僕がインコースは得意じゃないことはわかっていたと思います。最後はインコースにくるとわかっていたんですけど、想像以上に河野くんのボールのキレがよくて、対応できませんでした」
冬場にはインコース攻めを克服するために右ヒジを引くスイングの習得に励んだが、武岡は「練習はしてきましたがうまくいきませんでした」と唇を噛んだ。夏に向けて、ライバルチームは間違いなく武岡の弱点を突いてくる。八戸学院光星の中心打者として、越えなければならないハードルになるだろう。
だが、ドラフト候補としての武岡は、そのポテンシャルの一端をバックネット裏のスカウト陣に見せつけた。
「坂本や北條の高校時代より守備はうまい」
それは過大評価ではない。今度は「守備は」の但し書きが取れるかどうかの戦いが、すでに始まっている。
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