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スカウトも唸る光星学院・武岡の守備力
「高校時代の坂本勇人より上」 (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 一方、守備については「それほどの自信はありません」と打ち明ける。甲子園球場のグラウンドの印象を聞いても、「守りにくいです」とネガティブな言葉が口をついた。

「スタンドのお客さんが目に入ってボールが見にくいですし、ファーストのうしろ(ファウルエリア)が広くて(投げる時)距離感がつかみにくいんです。土のグラウンドもあまり得意じゃないし、どちらかと言うと人工芝でやりたいです」

 これほどまでに武岡が守備に対して後ろ向きなのは、理由がある。それは初めて甲子園の土を踏んだ昨夏の甲子園での「トラウマ」があるからだ。武岡は2回戦の龍谷大平安(京都)戦で正面の強烈な打球を弾くタイムリーエラーを犯し、チームが1対14と大敗する一因をつくっていた。ほかにも記録に表れないミスもあり、武岡は自分の守備に自信を持てずにいたのだ。

 しかし、広陵戦で武岡はビッグプレーを見せる。6回裏、無死一塁の場面。広陵4番の中村楓大(ふうだい)が放った打球は、詰まったハーフライナーとなって武岡の前に飛んだ。武岡は前進して左手を前に差し出し、打球をショートバウンドで捕球。素早くスナップスローで二塁に送球し、ダブルプレーを成功させたのだ。

 甲子園球場にどよめきが起きるほどのシーンだったが、武岡にとっては「ショートバウンドは一番捕りやすいので」と朝飯前のプレーだった。それに、打球が飛んでくる前から心の準備ができていたという。

「自分のところに打球が飛んでくるのは、だいたい事前にわかります。キャッチャーのサインとコースを見れば、予測ができますから。たとえば右バッターなら外の変化球を引っかけてボテボテのゴロが飛んでくる可能性が高いし、左バッターなら外の真っすぐを打って強い打球が飛んでくる可能性がある。ゲッツーの場面はインコースにキャッチャーが寄ったので、詰まった打球が来るかもしれないと準備していました」

 広陵戦での守備は「意外と簡単な打球が多かった」と事もなげに振り返った武岡だが、さすがに守備への手応えは感じたようだ。「いいプレーが少しずつできたのは、成長したのかなと思います」と自信を口にした。

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